「そう言ってくれるのはラッキーマン、お前だけだ…」
「？でも買ったのは天才マンじゃん」
「(な、なにーっ！？勝ったのが私…だと！？そこまで情けをかけてくれるのかラッキーマン……どうみても勝ったのはラッキーマン、お前じゃあないか…！)」


更に電撃が走る。
彼女はどれだけ情け深いのかと…



「い、いや…そこまで情けをかけてくれなくてもいい！『勝った』のはどうみたってお前だ」
「いやいや、違う違う!誰が何と言おうと『買った』の天才マン！それを私がもらったんじゃない！」
「ありがとう、確かに私にも間抜けなところはあった！しかし私も本気だったのだ！『勝った』のはお前だ」
「だから違うって、『買った』のは…」「し、しかし」
「ああもうしつこいなーっ!!この際どっちが『買った』かなんて小さい事はどっちでもいいじゃない!!大切なのは譲り合う気持ちだよ!!」
「！！」


鈴音のその言葉に天才マンは
言葉を詰まらせて黙った。
そのまま鈴音は続ける…


「そう、私は天才マンから素晴らしいモノを譲ってもらったんだよ、その事実さえあれば満足！」


鈴音のその言葉に天才マンも観客も、感動に包まれている…
どこか誤解があることは皆知らぬままだ


「ら…ラッキーマン、そこまで素晴らしい戦いだったと言って、くれるのか…！」
「あっ、それとこのヒーロー認定証は貴方に返すね！元々君のだからね、わたしは自分の力で認定証ゲットしてみせるよ」


鈴音はポケットから認定証を
取りだして天才マンに手渡した。
天才マンは認定証を受けとり、じっとその
認定証を…ずっと探していた認定証をみつめる…

ようやく見つかった認定証

だがもう…

その時、天才マンの肩にかかる手が。


「！会長…！」


それは会長だった
先程まで憎かった憎悪は、もう天才マンの心にはなかった。
まだこけている頬で、会長は優しく笑みを浮かべる。


「時間はかかったようだが、ようやくなくした認定証を自分の手にしたようだな。これでお前はヒーローに戻れるんだ」


その言葉を、どれだけ望んだだろう
だが…自分は望めない立場なのだ、と
天才マンは目を伏せる。


「私には…そんな資格など」
「バカモノーーーーっ！！！」
「っ！！」


その時、会長のパンチが天才マンに当たった。
そのパンチは暖かい…暖かい物だった。