前回、天才マンの罠にかかり眠らされて
金魚鉢型の死刑台にセットされた鈴音！！
下からは水がせり上ってくる！！早く起きろ、鈴音！！


「ん、うぅん…なんか冷た…！？いやーっ！？水っ！！やだ動けない…っ！」


首辺りまで来た時、ようやく鈴音は目を覚まし急いで息を止める
目の前で不敵に笑う天才マンを見てようやく罠にかかったのだと自覚した。


「(い、息止めなきゃ…！最高に苦しい殺しかたって…これなの？)」
「そして、ゴールドフィンガースイッチオン！！」
「なにーっ！？ゴールドフィンガー！？ゴールドフィンガー…なんのことでしょう？」
「えーとゴールドが金で、フィンガーが指だから…金の指？」


何が起こるのかとスーパースターマンと会長そのまま様子を窺っていると、今度は無数の手が伸びてきて鈴音をくすぐり始めたのだ。
くすぐられ思わず笑ってしまい、息が続かない！


「この世で最も苦しい死に方は二つあると聞く…一つは窒息死、そしてもう一つは…笑い死にだ!その二つが合わさったとしたら…？」
「とっても苦しーっ!!」
「その通り!!これが天才の考えた最高に苦しい殺し方だ!!そしてこの金魚鉢型の死刑台は名付けて『魚ーっ、苦しいマシーン』!!どうだー!天才の考えたシャレはー!!ぶわっはっはっは!!!」


天才マンの考えた最高に苦しい殺し方とは、水に沈めて笑わせる事らしい。
それはともかく意味のわからない洒落に爆笑する彼に周りはついていけてないようだ…
つまり彼と同様に爆笑出来たものは天才だということになるのだろうか。


「ふっ、天才というものはいつの時代でも理解されないものさ…」
「で、でもありゃ本当に苦しそうだな…見ろよあの顔！！」

「(くっ…苦しいぃぃぃ…！！)」


水槽の中の鈴音は息が上手く出来ない状態が続き、気付けば胸のマークが小苦になっていた。
これは彼女が本当に苦しいと胸のマークが
小苦 中苦 大苦 超苦になり、最期には胸のマークは御臨終になるのだ…
そう説明している間にも鈴音のマークは中苦に…！


「ああ～！もう駄目だ、これでラッキーマンが死んで私も殺されるんだ…！」
「安心しろおやじ！私にいい考えがある」
「バーカ!お前なんかに助けられるわけないだろ!」
「テメーっ！オヤジそこまで言うかー！」
「じゃあ助けてみろよー!!お前に出来るのかー!?」
「私じゃない!私がやるんじゃなくて…努力マンの力を借りるのだ!」
「バーカ、努力マンは深い眠りに落ちちゃって寝てるんだぞ?ちょっとやそっとじゃ起きねぇよ！」
「いいや、努力返しを利用するのさ！」


スーパースターマンは指を立てて、
つらつらと説明しだした。


「まず、努力マンに石を投げつける。当然奴は石を努力返しする！そのものすごいスピードとパワーで石は飛び、例え天才マンでも阻止することはできずにあの死刑台に当たりガラスが割れる！そうすればラッキーマンは助かるってもんだ！」


スーパースターマンのその作戦に、
会長はぽかんとしたかと思うと声をはりあげ…


「ば…バカモノー！！」
「ひ、ひえ…ごめんそんなに上手くいくわけ！！」
「そんないい作戦があるならなぜもっと早くに言わん！さすが目立くんナイスアイデア！」
「エヘッ！」


にっこり笑顔になりスーパースターマンを褒めちぎった。
褒められ気分の良くなったスーパースターマンは早速手に石を持ち作戦にかかる…


「よしっ、頼むぜ努力マン!」


スーパースターマンはぽいっ、と
努力マンの方へ石を放り投げる…すると
予想通り石は努力返しで飛ばされた、が
飛ばされた石はスーパースターマンに直撃し、スーパースターマンは倒れ込んだ。


「お決まりのパターンだな…」
「コラーーーっ！！あっちだーー！！よく見て跳ね返さんかーい！！！よしっ、今度こそ！！」


今度こそはと石を投げたが…今度は会長にその石が命中してしまった。
血を流しながらスーパースターマンを睨む会長…


「おまえなーっ！跳ね返される場所を、もっと計算して…！」
「は、ハハ…ほ、ほら努力マン!!!おやじが怒ってるぞー!!おやじに謝れ!!!」


石をどんどん投げ、努力マンが寝たまま淡々とそれを返す、
その作業を繰り返すうち会長とスーパースターマンがゲーム感覚で楽しむようになり遊んでいる間にも鈴音は未だに苦しんでいた。


「(あ、あぁ…この、まんま、じゃ死んじゃう！！)」


胸のマークはとっくに大苦、時間は無い
そこで彼女の頭に明暗が浮かんだ。


「(そ、そうだ！！この状況でもラッキービームは出せるじゃない！)」


ラッキービームでガラスが割れてくれれば…！
早速彼女は行動に出た。


「(ら、らっきー、びーむ…！！)」


ビーッ、と出されたへなへなのビームは…
ガラスも割れずにそのままふにゃふにゃとガラスの外へ出ていってしまった。


「(ありゃ〜っ、威力なさすぎだよぉぉ…ガラスも割れない、ってあらちょっと、どこ行くのぉぉ…？)」


そのまま外に出たラッキービームは
天才マンの目の前を通り過ぎた、
天才マンは


「ん？なんだこりゃ」


とそのまま行方を目で追ってみることにした。
行方を見守っていると、スーパースターマンの足元で来たところでようやくビームとしての力を発揮した。


「ギャピーッ!!!」


ビームに直撃したスーパースターマンは、そのまま努力マンの所まで飛んでいく、
当然努力マンは努力返しをしてスーパースターマンをぶっ飛ばした、
そしてその飛ばされた先は…処刑台、
スーパースターマンは処刑台を支えている足の一本を破壊してそのまま転がった、
そしてその支えを失った足はゴロンところがる…しかしここがラッキーの始まりだった

その転がった先は…天才マン、
そう、処刑台は天才マンを巻き添えにして逆さまになった！！