「ふふ、ふ……」


天才マンは認定証で隠れて顔は見えないが、小さく笑っていた。
現在の彼の感情が分からない鈴音は恐る恐る、というように声をかける…


「あ、あの…天才…マン？」


瞬間、天才マンはばっと顔を上げた。
そこには表現しがたいような迫力のある怖い顔をした天才マンが鈴音を睨みつけていた
その顔に鈴音は震え上がり叫んだ。



「いやーーーっ！！！！怖い顔ーー！！」
「こ、ろ、す！！この認定証泥棒めが！！」
「やっぱり怒ってた！！いやーっ！！」
「まてこの泥棒ー！！！」


あまりの顔の恐ろしさに鈴音は試合場の周りを走るようにして逃げだした。
当然ながら天才マンがその後を追う……


「違う！違うの私がやったんじゃないー！！初代ラッキーマンって言うのがいてその認定証はそのおさがり、っきゃああぁ！！」
「だからそれを泥棒ってんだよォ！！！」
「いやー！！その顔やめてぇぇ！！」
「やめん！！」


ぐるぐると追いかけっこをしながら
言い合いをする鈴音と天才マン…
目のつり上がった恐ろしい顔で彼女を追いかける天才マン…


「この天才が編み出した最高に苦しい殺し方で殺してやる！！」

「何が天才マンだ…笑わせるぜ」


その時、飛んできた声に天才マンは足を止めて声のした方を睨みつける、
そこには目を覚まし、話を聞いていた勝利マンが壁に寄りかかり座っていた。


「しょ、勝利マン！」
「伝説のヒーローだの、天才だの言うからどんな奴かと思えば…がっかりしたぜ。お前は自分のドジで認定証を無くしておいて会長を逆恨みしてるだけじゃねーか。その上よっちゃんにそそのかされて身を売るとは…ヒーローのクズだぜ」



勝利マンの話を無表情で黙って聞いていた
天才マンは、話が終わると目を静かに閉じ言葉を繋げた…


「この世に言い残す言い残すことはそれだけか？勝利マン」
「やる気か!?おもしれーっ!!俺も無敗同士勝負したいと思ってたところだ!!」
「しょ、勝利マン！？大丈夫なの！？」


勝利マンは痛む身体にムチを打ち、勢いよく立ち上がった、
すると彼を心配した鈴音駆け寄る…


「心配される程じゃねぇ…！下がれラッキーマン…！」
「しょ、勝利マン…」

「…ふっ」


天才マンと勝利マンによる壮絶な戦い…

は、繰り広げられなかった、なぜなら…



「カッ！！！」
「！！」

次の瞬間、天才マンの額から発せられた光によって
勝利マンは骨も何も残らず消滅してしまったからである…