「っあ、あぁ…！」
「ひょええ〜っ！」


手を口に当て、怯える鈴音の声と
情けないスーパースターマンの声が響く。
努力マンは、自分の体を貫いている鋼鉄マンを見下ろした。


「ふふふ…努力マン。この戦いがタッグ戦だという事をすっかり忘れていたようだな…」



確かに、忘れていた
パワーマンに陰に隠れたもう1人の敵のことをすっかりと…忘れてしまっていた、油断をしていた。
真千子を助けられた安心感で、すっかりと。


「兄さん…やっぱり僕はなっちゃいないね、兄さんとはえらい違いだ」


ちらり、と豪快ないびきをかく兄をちらりと見る。その間にも努力マンの中心に大きな血の池ができあがり、スーパースターマンと会長の2人は後ずさる。
鈴音はただ、そこに佇み涙ながらに努力マンの名を呼んだ。


「努力マン！！努力マン！！しっかりしてぇぇ！！」
「し…しょう…」
「フフフ…立っているのも辛いだろう。さて、これで終わりだ。俺がお前の体から抜け出せば一気に血が噴き出す。そしてお前は出血多量で死ぬのだ」
「な…んだと…?」

「フフ…死ねぇーっ!!!」


ジェットがつき、鋼鉄マンが努力マンの体から抜け出そうと動いた。
動く度に努力マンの貫かれた穴から吹き出す血、
血が自分にかかるにも関わらず鈴音は手を手で多い、涙を流す…


「やだ、やだぁぁ…！！やめて、やめてぇぇ…！！」
「し、しょう…！！」


自分の身を案じて泣く師に顔をゆがめ、
そして鋼鉄マンの方をむくとまゆと目を吊り上がらせて鋼鉄マンを掴んだ。


「うがぁあああっ!!!」
「っ、…へ!!そんなことしても死ぬのが伸びるだけだぜ!!!」


必死に鋼鉄マンを抑えながら、努力マンは心の中で呟いた
強くなったな、と安心して眠った兄を…裏切る真似はできない!!
勝利マンは…無敗のヒーロー、
勝利マンは負けてはいないのだ！！


「勝利マンは…絶対に…勝ぁーーーーつ！！！！」


そう叫ぶと、努力マンは勢い良く宙へと飛び、努力マンは飛べるとこまでいくと、そのまま地面の方を見て今度は落下し始めた
その顔は、まさに兄の勝利マンにソックリであった…


「っ、そ、そっくりだ…」


努力マンはすごい勢いで地面に降りて行くと、宙で鋼鉄マンを自分の体から引き抜いた。


「うおおおおおおぉぉぉっ!!」



血が噴水のように一気に噴き出す、それでも努力マンは地面にある『何か』を目指して一直線に落ちて行き…勢いに乗って鋼鉄マンを地面に置いてあった鉄下駄に突き刺した、すると鋼鉄マンは…



「っ、う…動けん!!!」



必死に体を鉄下駄から抜こうとするものの、30トンという重さには敵わず、必死に動くが抜けなかった。



「そ、か…！鉄下駄にさしちゃえば…重さで、動けないもん、ね！」
「だがあれじゃ努力マンも出血多量で…！」


鋼鉄マンの動きを封じることには成功したが…血がその間にもとめどなく流れる。
すると出血多量だった努力マンは、自分の額に手を伸ばして『血の汗』を自らの手に刺して輸血し始めた