「いいか、子供っていうものはだな！！
その子のずっとずっと先の未来まで
背負っていくものだぞ！！


お前は一生涯かけて他人の子の
責任を負えるのか？」

「………………」




…少しの間目を閉じて黙り込んだ
勝利マンは…目を見開くと
決意を固めた表情で前を向く




「ただ思いつきで親になるなんざ
言い出すような俺じゃねぇんだよ、
”弟”とはまた違うのもわかってる
血の繋がりがあるかないかで
いずれ壁が出来てしまうことも
知ってる！！だがな！！」




だけど…

あの時、あの子が自分の腕の中で
初めて笑ってくれたあの日から
あの子の事が頭から離れなくて

もっとそばに居たい
もっと…面倒を見たい

そして…この子に”父さん”と呼ばれたい


そう思ったんだ




「あの日から、あの子の事を
愛おしいと！！あの子の成長を
見届けたいと思った！！だから俺は
父親になることを選んだんだよ！！」
「「……」」




天才マンと鈴音は
小さく息を着くと…鈴音が
最初に口を開いた



「……勝利マンって…分かってたけど
ほんとにきかん坊の頑固者…」
「…」
「…でも」



ふわり、と優しく彼に微笑みかけた




「…言ってくれてよかった
言ってくれなかったら勝利マン
だけの事態になってた」
「！…じゃあ」

「でもね、もしも勝利マンが
弱音吐いたりしたら許さないからね
私たちが見届けるよ…」



ね、いいよねと天才マンの方を見ると
天才マンもこくりと頷いた




「…鈴音がそう言うなら
私もこれ以上は何も言わないさ」
「……………ありがとよ」




2人は、心配はないと確信して
立ち上がって立ち去る勝利マンの
背中を見届けた
だって、負けず嫌いの勝利マン
が弱音を吐くとは思ってはいないから…




「……………兄さん」
「…聞いてたのかおめぇら」



勝利マンが部屋を出ると、
すぐそこに努力マンと友情マンがおり
全て話を聞かれていたことを
察した勝利マンは弟たちの方へむく




「…今話した通りだ、俺はあの子を養子にとる」
「…………兄さんがその気なら私は
止めませんよ、止めずにあの子を
姪として受け入れます」
「私もですよ」
「おうよ」




父親になる決意をした勝利マンは
養子縁組をとるにあたって
必要な手続きをしに向かっていった…