その夜…勝利マンはヒーロー協会の
休憩室でほほつえを着いて
施設での話を思い出していた



「泣くのが少し…酷くなったかなと
誰が抱っこしても泣き止まなくって」
「え？…そう、なのか」
「はい…でも不思議、勝利マンさんに
抱っこされてる時だけはご機嫌なんですから」



「………………」



そして次に脳内をよぎったのは
自分に腕を伸ばして泣く赤ちゃん
…その赤ちゃんの事がどうしても
気になって仕方なかった
…気になって仕方なかったのは何故か

…それは




「（……あの子の事を愛おしいと
思ってしまったから…）」




この腕で初めで抱いたその時から…

愛しいと言う思いが溢れてしまった
四六時中あの子のことが気になって
仕方なくて………




「……………」




カサ、と施設にあったチラシを
真剣な顔で見つめていると…
休憩室に数人入ってきた




「ぱぱー、これー」
「ん？ティッシュ？パパ今ティッシュは
いらないから机に置いておこうな」
「んー」

「きゃー！」
「こらっ、星奈走り回らないの！
痛い痛いするよ！」
「いたいいたい、やっ！」
「ならママとソファに座ってようね」



やってきたのは天才マンと鈴音の
親子だった
勝利マンはチラシから鈴音達
親子に目線をやり……




「おい、こっちこっち」
「！あ、勝利マンここにいたの？」
「しょーりおいたん」
「おいたん」




鈴音達は勝利マンの向かいに
座り、子供たちはそれぞれ天才マンと
鈴音の膝の上へと座る




「ちょうど良かった、おめーらに
話したいこと…相談したいことがあってよ」
「え、私たちに？勝利マンが悩んでる
レベルなのに…私に答えられるかな…」
「いや、私たち出なければダメなんだろう？」



こくり、と小さく頷いて勝利マンは
チラシを握りしめて真っ直ぐに2人を
見つめて息を吸う
そんな勝利マンの手に握りしめられて
いたのは…






〘特別養子縁組制度について〙




のチラシであった