………そして退院後………



「………ほら天才、ママにお顔を見せておやり……」
「うっ？ぅー、あうー」



花を墓前に添えて膝をつき、
母の写真がよく見えるように
赤ちゃん天才を突き出す…
状況も何も分かっていない
産まれたての赤ちゃん天才は
指をしゃぶってぷくぷくの腕を
写真へ伸ばす。



「……天才、ママはね……体は無くなってしまったが天才と私を見ていてくれているよ……」
「あぶ？」
「……ふふ、まだ分からないね」
「うー！きゃっきゃ！」



赤ちゃん天才の小さな鼻をつん、と
続くと擽ったそうに赤ちゃん天才は
身を捩ってキャッキャと笑った



「鬼才、私はこの子がのびのびと育っていける世の中を作るためにまだ戦い続けて修行を続けるよ、ヒーロー神様の元でね……」



優しげな風に吹かれて神才マンの
マントと髪が靡いた
赤ちゃん天才の細くてふわふわな
髪もその風に靡いて…



「っくしゅ！」
「おや」



赤ちゃん天才は小さくくしゃみをして
神才マンそのくしゃみに息子を見る



「風がでてきたな……戻ろうか天才、風邪コンコンになったらいけないからね」
「うっうー！」



赤ちゃん天才の体を軽く揺さぶり
あやしながら神才マンは自宅へと
戻っていく……その途中でふと、
息子の将来を思った



「お前は将来どんな大人になるのかな、ね？天才」
「う？」
「もしお前がヒーローになったら………

天才マン、かな？ふふ」



そんな父の想像の通りに
将来息子がヒーロー、”天才マン”
が誕生することはまだ知らなかった…





そして神才マンはしらなかった
自分が記憶を失い息子と離れ離れに
なることを……