医者は頷くと分娩室へと入り
神才マンも隣で見守ることを許可された
手術が始まり、やけに大きく心臓が
高鳴り…心電図の音が緊張感を掻き立てる
そして………



オギャア！！オギャア！！



大きな産声を上げて、赤ちゃんが誕生した



「奥様！旦那様！産まれましたよ、とても美しい男の子ですよ！！」
「っあ…あぁ…！！」
「生まれた……！！」



うぶ湯で綺麗にされて金髪がライトに
当てられて輝く2人の可愛い赤ちゃん
ボロボロ、と鬼才は涙を流して赤ちゃんを
嬉しそうにその目に焼きつける


「……さぁ、奥様」
「…て、ん……天……才…！」


涙で目の前が霞んで見えなくなりそうに
なるが涙を拭って赤ちゃんを抱っこして
頬を擦り寄せる……



「鬼才……よく頑張ってくれた、可愛い男の子だよ…！！」
「み、て……あなた……ふふ、あなたに、そっくり……」



だが、そんな幸せな雰囲気を台無しに
するが如くけたたましく心電図の音が響く



「鬼才！！」
「……あ…なた………私……あなた、と一緒になれて…幸せ、でした」
「先生！！奥様の状態が！！」



鬼才には、彼女には分かっていた…
これが最後になる事を…
だからこそ、その前に伝えたい事を…



「本、当はまだ……この子の行く末を見て…いたい……でも……しん、ぱいはしてい…ないんですよ…………だって、あなたという…お父さんが…いる……」
「鬼才、そんな、まだ君と共にいたいんだ………だから、」




だから自分の手の届かないところに行かないで
涙を零して神才マンはそう懇願したが
運命というものは待ってはくれない…
鬼才は最後に優しく微笑んだ





「………あなた……天才………愛してる……」





その言葉を最後に鬼才の手が力無く落ちて……
0を指す心電図の音がピー……と響いた




「鬼才…………？鬼才、鬼才！！なぁ！！目を開けてくれ！！この子が大人になる所を…まだ見ていて欲しいんだ！！鬼才！！鬼才ーーーーーーっ！！！」



愛する人の死に神才マンは涙を流して
動かなくなった鬼才に縋り付くように
抱きついて大声で泣き…
そしてそんな母の死を悲しむかのように
天才の産声が響いた……