「鬼才、気分はどうだい？」
「えぇ…大丈夫よ……見てあなたこのお腹、もうすぐ赤ちゃんに会えるんだわ…」
「あぁ……」


すっかり大きくなったお腹に嬉しそうに
鬼才は微笑んだ……そして神才は嬉しそう
にしていたがそれと同時に悲痛そうな顔をしていた…



「……っ……鬼才…………」
「………貴方……赤ちゃんに会えるのよ、そんな心配そうな顔よりも……笑顔を見せて……」
「…………ん………」


にこり…と鬼才は微笑んで神才の唇に
自分の唇を重ねた。
神才はぐっ…と堪えて微笑みを見せる



「……天才……お母さんはあなたが大好きよ……元気で出ておいで……」




そう鬼才がお腹を撫でたその時だった


パチン…


と言う音と共に彼女の腹に激痛が走った





「っく、っうううぅ！！！」
「！！鬼才！！陣痛だな！？」
「え、えぇ…！！」



苦痛に顔を歪める妻を抱えて
神才マンはすぐに救急車を
呼び、産婦人科へと向かった…
そして病院につき分娩室へと
鬼才は通された



「（………鬼才…………）」



ぎゅう、と目を瞑り唇をかみしめて…
唇からは血が流れた…
奇跡が起こり妻が無事であることを
願った…だが…



「………旦那様」
「！先生……」


厳しそうな顔で医者が出てきて…
医者が何を言うかを察して、神才マンは
一瞬頭が真っ白になったが、医者に向かった



「……………非常に危険な状態です……赤ちゃんは大丈夫なのですが、奥様が………」
「〜っ…！！！」
「帝王切開で出産する事になるので……奥様は耐えられるかどうか」
「…………………」


失いたくない
…愛する人を失いたくない
だが……



「………先生、お願い、します…」
「！きさ、」
「……あ…なた……赤ちゃん、お願い、ね……」



苦痛に襲われ痛みに襲われ…
死が迫っているのにもかかわらず
鬼才は美しい笑みを見せていた
……彼女が覚悟をして産むと決めている……
神才マンは震える声で答えた



「…………お願いします………先生…………」
「…わかりました」