「鬼才さんお体は」
「大丈夫、です…ごめんなさい…お世話かけて…」


鬼才をベッドに寝かせた神才マンは
心配げにベッドに寝る鬼才を見つめる
鬼才は申し訳なさげに眉を下げる…と
儚く微笑んだ



「…私なんかに構っている暇ないのに…あなたは…ごめんなさい…」
「君のその言葉は嬉しいが、ごめんなさい以外の声が聞きたいな」
「えと………ありがとう、ございます？」
「っ、」



そう言ってふわり、と微笑んだ
鬼才に神才マンの胸は大きく
ときめいて跳ねた。
今までにこんな感情は…持ったことがなかった



「…えぇと………あ、ピアノ？…引くんですか？」
「はい、ピアニストをやっていまして…でも、私体が弱いから…あんまり仕事が来なくって…」
「あなたが引くピアノならばきっと美しい音色なのでしょうね」



神才マンのその言葉に鬼才は少し俯くと
ベッドから降りてピアノの椅子へと座った



「…聞いてくださいます？」
「ですがお身体は」
「少し、元気になったので…」



椅子へ座ると鍵盤に指を置き…
ピアノを引き始める。
心赴くままに鳴らすそのピアノの
音色は今まで聞いたこともない美しさ
であり…神才マンは目を閉じその音色に
聞き惚れた。



「……………あぁ、やっぱり楽しい……ピアノを弾くのは………あ、えとどうでした？」
「…美しかったよ、聞き惚れてしまった」
「本当ですか？嬉しい…」



嬉しそうに微笑む鬼才に神才マンは
表情を緩ませて微笑む、その頬には
確かに赤くなっていた…


「（この女性の隣に、ずっと居たいな）」


そう思った瞬間、気がついた



「（……私はこの人のことが好きだ）」



この女性、鬼才に自分は惚れたのだと
今神才マンは気がついた。