「！おっと、お目覚めですか？お嬢さん…大丈夫ですか」
「……むぐ、う、」
「失礼、苦しかったかい？」


苦しそうにもがいた女性のために
腕を緩めて腕の中の女性を見下ろす…
その女性がゆっくりと…顔を上げる



「………あ………」
「…、っ？！」



顔を上げたその女性を見た神才マンは
一瞬、息をするのを忘れてその女性に
目がいって…思わず食い入るようにして見つめた

その女性の緑色のエメラルドのような
澄んだ瞳の美しさ…
月の光を閉じ込めたかのような金色の髪…



「……助けてくれてありがとうございます…私、鬼才と申します……」
「…鬼才」


震えながらも答えた女性の名は”鬼才”
その名前を呟いて神才マンは…
鬼才は赤い頬で鬼才を見つめた


「……私の名は神才マンだ、鬼才」
「ご存知です………本当にありがとうございます………っ、」
「あっ！？」


そそくさと去ろうとした鬼才であったが
途中まで歩いたところでふらり、と
よろけてその場に膝をつき…
神才マンは駆け寄り抱き起こした



「大丈夫ですか！？」
「ごめんなさい…助かったと思ったら、立ちくらみが…ケホ、コホ…」
「咳が……無理をしないで、」
「気にしないでください…私、体が昔から弱くて…でももう良くなったと思うので、昔に比べたら…だからもう行きます、」

「いいえこのまま放っておくことはできません、ヒーローとして…送らせてください」



真っ直ぐにそう見つめた神才マンに
鬼才は顔を真っ赤にして俯くと
こくり、と頷いた



「では行きましょう、どこですか？おうちは…」
「っあ…えと…そこの右の角を曲がって真っ直ぐ行くと赤い屋根が…」


鬼才を姫抱きすると神才マンは
案内の通りに歩き出す…


これが、後の天才の母…鬼才との出会いであった