「…1度、水に沈めて殺そうとした男に…娘を任せられん！！認めない！！」
「パパ、でも私！！」
「自分勝手なことを言っているのはわかる！！だがな、父親としてどうしても認められん！！！」


また、この男に危険な目に合わされたら
もしも騙されていたとしたら
父として…心配なのだ



「……っ…」
「…パパ、私は…それでも」
「……」
「あっ、天才マン…」



友情マンが伸ばした手は空振りした
天才マンは黙って止郎の前へと歩いて
ゆくとピタリと止まり…
…何をする気だと唾を飲み込む。



「……お父様」


天才マンは地面に正座をすると
手のひらも地面もつけて
額も地面につけ……父、止郎の
前に…



「「！？！？」」
「て、天才マン！？」
「な、おい、頭を上げ…！！」



土下座をして見せたのだ
あの天才マンが、と慌てる鈴音や
三兄弟達と…まさか土下座をされるとは
思わず慌てて頭を上げさせようとする
父、止郎…だが天才マンは続けた



「お父様お母様……確かに私は娘さんの命を、昔奪おうとしました…今となれば深く後悔しております……許されない事だとも思っています！！ですが！！」


そのまま叫んだ、自分の思いを…



「罰を受けろというのならばいくらでも受けます！…私は、娘さんの事を深く愛しています！！…ですから…娘さんの事を騙すような真似も…私自身が彼女を危険な目に合わせる事も無いのを…どうか、どうかご理解くださいお願いします…」



罰としてヒーローをやめろと言われてもいい
……だから

彼女を深く愛している事をわかって欲しいんだ…


「…パパ…私もうそんなこと気にしてなんかない……私は天才マンが好きなの、寄り添ってくれる優しい所も…一途に想ってくれている所も…私を引っ張っていってくれるところも全部好き…お願い、パパ」
「………」
「パパ」


伊八代に背を軽く叩かれて
止郎は小さく息を吐いた



「…本当に娘を幸せにするんだな」
「…はい」
「…いつの間にか鈴音は…成長して、大人になっていたんだな…」


柔らかい表情になると、天才マンの
頭を上げさせて…微笑んで答えた



「…………娘をよろしく」
「！！…はい、もちろんです」
「パパ……！！」


その言葉と共にクラスメイトから
歓声が湧いた。
こうして…秘密も、わだかまりも無くなった…
天才マンに着いた砂をはらいながら
微笑みあって学校を見上げた


さらば、思い出の学び舎よ