きつく抱きしめられながらの
彼の言葉に鈴音はまた涙が
一筋つたい…嬉しく思うと共に反省した



「(ああ、私…天才マンに酷いことしてたんだ…)」
「(勝利マンにばかり構って…天才マンの事、ほったらかしにしてた……)」



ふと、それを逆の立場で考えた
…もしもこれが逆で…自分が天才マンの
立場で…天才マンとひしょ香ちゃんが
勝利マンの自分の立場にあったら…？

そう考えると、自分が彼にしてしまった
所業がどんなものかを知り、罪悪感に苛まれた。



「私の方こそ…ごめんなさい、恋人のあなたの事をほったらかしにして………」
「ラッキーちゃん…」
「でもね…良かった、天才マンに嫌われたかと思った…」
「嫌うわけないだろう！！…君は私の大事な女性だ、愛してる」
「天才マン……」


起き上がりきつく抱きしめあって
仲直りをして、笑いあった
それを見ていた勝利マンは肩を竦めた


「あーあちぃあちぃ！なんかお邪魔見たいだから退散すっか」
「！あ、勝利マン！」
「あ？」


その時勝利マンを鈴音が
呼び止めた。



「あの、もしかして…勝利マンが言ってた天才マンと私が仲直りできる方法…って…」
「！！」


その言葉に後ろを向いた勝利マンを
天才マンが見やるが勝利マンは
鼻で笑った



「んな事言ったか？」
「え、」
「俺は単にお前を元気つかせるために連れ歩いただけだぞ、ほんじゃあな」
「あ、勝利マン……」


階段を降りるその前に勝利マンが
呟いた小さな言葉を、天才マンは
聞き逃さ無かった




「あーあ、横取りしようとする当て馬役演じるのも楽じゃねぇぜ」
「！」


勝利マンはそのまま背中を向け
階段をおりてゆき…天才マンは
その背中をじっと見つめていた…



「……………勝利マン………お前………」



天才マンは勝利マンの考えていたことが
ようやく分かり……彼に、深く感謝をした。