鈴音を探して走っている天才マン…
全ては、彼女に謝り仲直りをするために
と辺りを見ながら探すが…


「どこだ、ラッキーちゃん！！」


その姿は見えない、どこへ行ったのだと
必死に探すうちに…建物の影に見覚えのある
ツインテールが視界の端に見えた



「！あの髪は…」


間違いない、鈴音の髪だと
察してスピードを早めてその建物へと
かけてゆき建物の角を曲がり…



「ラッキー…ちゃ……？」



建物の角を曲がり彼女を名を呼ぼうと
した天才マンは…思わず言葉を失った
建物の角を曲がって遠くにいたのは、間違いなく鈴音

だった…だった、が…





「………………勝利、マン……？」



一緒に歩いていたのは…勝利マンだった
俯いて暗い雰囲気の鈴音を
隣に並べて何やら話しながら歩いている
勝利マンの様子を見て絶句した…



「…な…んで…？」



絶句してその様子を見て絶望していた
天才マンは…先程の自分の発言を思い出した。




「そんなに勝利マンがいいなら勝手にしろ！！」



「……っあ…！！」



もしかして…その発言のせいで…
彼女は、自分に愛想をつかせて…？
そしてそんな時に勝利マンと距離が縮まって…？



「……私の、せいじゃないか…………！！」



拳を握って悲しみと悔しみが混ざった
顔で泣きそうになった…が、
父の言葉を思い出して前を向いた



「信頼するんだ、自分の愛する娘を」

「……いいや、彼女が私に愛想をつかすわけが無い！！負けん！！」



ぐっ、とやる気を入れると
鈴音と勝利マンの後を追いかけていった…
勝利マンがそれをちらりと見ていたのは…
気が付かなかった。





「…よしよし…」
「…？勝利マン…？」
「あ？あーなんだ？」
「勝利マンについて行けば天才マンと仲直りできるって本当に…？」
「間違いねぇよ、任せろ」



勝利マンと鈴音の後を
追いかける天才マンの姿を
確認して勝利マンはにやりと微笑んだ。
そう、これが勝利マンの考える
鈴音と天才マンを仲直りさせる
方法の序章であった…



「(ほんとに好きってんなら…来いよ天才マン)」
「(勝利マン…仲直りさせてくれるって本当になのかな…)」
「んな顔すんなって」
「っわわ、」



隣の不安げな鈴音の頭を
やや乱暴めに撫でる。
髪がクシャクシャになりながらも
鈴音は勝利マンを見上げた



「勝利マン…」
「信じろよ俺を」
「う、ん…」


少し笑顔を浮かべた鈴音に
目を細めて後ろに意識をやれば…
ヤキモチのオーラがちらりと見えた。


「(…まーだまだ…)」
「(一体どこへ連れていくんだ…！？)」



天才マンが後ろについてきているのを
確認すると一つ行動に出た。



「おっと、ラッキーちゃん俺から離れんなよはぐれんじゃねー」
「っわ、」
「なっ！？」


ぱっ！と鈴音の手を握り
手を繋ぐ形になり…天才マンは
目の前を疑った。


「しょ、勝利マン？」
「ふらふら歩いてっからだろ」
「んな…っ」



ぴきぴきと青筋浮かべて
嫉妬の炎を燃やしたが
冷静に、という父の言葉を
思い出して深呼吸をして落ち着くと
また尾行を開始した。



「…ねぇどこ行くの…？」
「もうすぐ分かる」

「……一体どこへ…………？ん？待て、この先は確か」



はっ、と気がついて案内看板を見ると…

〖ヒーロー恋人岬〗

と書いてあった…



「っ！！！！」



それを見て天才マンは…
間違いない、勝利マンは鈴音に
告白をする気だと察した…



「っ、そんな事はさせない！！」



遠くの方で見える…岬へ続く階段を
登る勝利マンと鈴音の
あとを追いかけて走っていった…



「勝利マン、こっちに何があるの？」
「今にわかるぜ」