一方鈴音は外のベンチで
うずくまり泣いていた…
ボロボロと溢れる涙が足に落ちる。


「ひっ、く…う…天才、どうして、」


先程の彼の声が反響して響いて
尚更心が痛む…
あんなに乱暴にキスされたのも…
あんな怒りの目線を向けられたのも初めてで…



「…うっ、うぇ…えぇ…ぅ…」



そんな彼女の泣き声を聞きつけて…
1人の男が後ろから歩いてきた


「……ラッキーちゃん？」
「！」


後ろから鈴音に声をかけてきたのは…
回復した勝利マンであった
振り向いた鈴音が泣いていた
事に目を見開いて彼女の側へよる。



「どうしたお前、なんで泣いて…！！」
「……勝利マン………」



勝利マンの方へ振り向いた鈴音は
またボロボロと泣きながら口を開く



「勝利…わ、私…私と、天才…もう…だめ、なの、かなぁ……」
「…は？」



その言葉に勝利マンの思考回路は
ピタリ、と止まった…どういう事だ？



「…天才マンとなにがあった」
「…え、とね…」


鈴音は勝利マンに全てを話した
先程あった出来事…
そして怒りながら去っていってしまったこと…



「…………」
「(つまりなんだ…天才は俺とラッキーちゃんの距離が近くてヤキモチ妬いて……だとしたら俺も…)」



目の前で泣く鈴音に…
勝利マンの心内に欲が湧き出した。

……お前が泣かせるなら、俺が奪ってしまおうか…

手を彼女の元へと伸ばして涙を拭う…



「…う…」
「……なぁ、ラッキーちゃん」
「……？」



「俺にしろよ」と

口を開こうとした…が
鈴音の涙を見てとどまった。
ダメだ、思い出せ…この子が誰を想って泣いているのかを…
首を振ると彼女に答えて見せた



「手伝うぜ、お前と天才の仲直り」
「え…？」
「任せろ、お前とあいつを元のラブラブ似してやるぜ」



自分の想いよりも…鈴音の
表情に笑顔を取り戻させる事を
優先させる。
それで彼女の笑顔が戻るのならば…

ライバルの恋でも何でも、応援してやる