その言葉に驚いた顔で横の父を見やる。
しかし嘘は言っていない様子で…



「…どういう事だ、父さん」
「どういう事も事実だ、私は母さんが他の男と接していてヤキモチを妬いたことは無い…何故なら、」



目を開いて優しい笑顔で答えて見せた。




「母さんが私以外を愛する事などありえなかったからな」
「！！」



自分以外のところなんて行かないという
絶対的な”自信”。
その答えに何かハッ、とした顔になった



「私には母さんしかいなかったし母さんにも私しかいなかった、だから母さんが他の奴の所へ行く不安なんてなかったな」
「………」


なんという自信
なんという信頼
天才マンはその答えに、その自信に
父を尊敬した…
そうなれたらいい、そう思ったが…


「(…私は…ダメだ、どうしても不安になってしまう)」


また暗い顔になった息子の肩を叩く。



「だがな、それはあくまでも”愛の形のひとつ”でしかない…ヤキモチをやかないのが偉いんじゃない」
「……………」
「ヤキモチを妬くのも愛の形…ヤキモチを妬かずに相手を信じるのも愛の形…だかな、ヤキモチと怒りのままに相手を傷つけるのは間違っている」
「……父さん」



そんな父の言葉に納得させられ…
天才マンは正直に口を開いた
勝利マンと鈴音の距離が近くて…
仕方ないとは思いつつもそれが嫌で…
等々我慢ができなくなって、
今まで許可を取るまでは、と思って
やらなかった……”深いキス”を交わした上に手を出しそうになった事…
そして酷いことを言ってしまったこと…


「………私が悪いんだとは知っているんだ……でも……」
「…ふぅむ」


腕を組んで考え込むと神才マンは答えた



「……………確かにそれはお前が悪い、だが…彼女も少し悪かったな」
「！なん、」
「…ラッキーちゃんは純粋で幼い…だからこそ、お前が何故怒りヤキモチを妬いていたのかも分からなかった…そして、距離感が近いと言うことも分からなかった」


すっと目線を合わせて答えた


「それを、お前が説明してやれば済んだことだった…怒りに任せて冷静さを失うのはお前の悪い癖」
「……………たし、かに…」
「だがな、これだけは言わせてもらう…信頼するんだ、自分の愛する娘を」
「……！」
「…さて、ここまで父さんが話せばわかるだろう？」
「あぁ！！」


天才マンは鈴音を探すために
走り出す…が、すぐに父の方を振り向いた



「父さん、ありがとう！！」
「あぁ」


にっこりと微笑んで手を振ると
空を見上げて呟いた



「鬼才……お前にも、会いに行かないとな」