「師匠なんかすみません兄さんに付きっきりで…」
「え？いやいいよだって…」

「ラッキーちゃん」

「どうした…の………！？」


低い声でブーツの音を立てて
歩いてきた天才マンの表情をみた
努力マン友情マンはぎくっ！！と
怯えた表情を見せ…
鈴音は怖い顔をした
天才マンに肩を跳ねさせて怯える…



「……て、んさい…まん…？」
「「(あ、これなんかヤバいやつ)」」


怖い顔で鈴音を睨む
天才マンに一同はやばめな雰囲気を
感じて天才マンを止めようとするが…



「あの…なに…」

「…………………来い」



不安げに見上げる鈴音の腕を
いきなり掴みあげると鈴音の
事をどこかへ引っ張ってゆく…


「いたっ！？ちょっと、天才マン！？痛いよ、どこ行くの、ねぇ！！」
「…………」
「「あっ…」」




下を向いて表情が見えぬままでずんずんと
引っ張っていく天才マンに声を上げるが
何も言わずに彼は引っ張っていく…
ヒーローたちは止めようとするが…



「えっ、と…止める…？」
「…もれなく止めようとしたらカッ！！が来るけど…止める…？」
「それでも止めるしかないだろ、よし行くぞ！！でも見つかんないようにね…」
「お、おう…！」


こそこそと天才マンと鈴音の
後を追いかけるヒーロー達…
そんな仲間には気付かぬ様子で
天才マンは鈴音の腕を引っ張り
誰もいない空部屋へと連れ込むと
乱暴に扉を閉めた。



「いたた…ね、天才マンどうしたの……！？」



痛む腕を擦りながら天才マンに問いかけるが
振り向いた天才マンの表情をみて言葉を詰まらせた
彼の表情は真顔で…しかし目は笑っておらず光がともっておらず…


怒っている、というのは分かった。



「………てん、さ…」
「…………………ラッキーちゃん」
「、な…っう！？」


ドン！！と大きな音を立てて
鈴音の両手首を掴むと
壁に貼り付ける壁ドンの形となった。
目を開いて、目の前の天才マンを見つめる…



「天才、いたいよ…何…！！」
「何じゃない、なぜ私が怒っているのかが分からないのか」
「…！？」



眉と目が吊り上がる
ぞくり、と冷や汗が背中をつたう



「……え、と………」
「……分からないんだな、ならば教えてやろうか」