「…これが、神才マンと私たちの出会いでした…そして神才マンは1度ならずに2度までも救ってくれました…2度目の危機は、隕石衝突の危機でした…オシエ星最大の危機を、神才マンはまた救ってくれたのです」
「隕石！？そんな、どうやって！」
「さっき語った”カミノサバキ”って光線で消したとか？」
「いいえ…それとは別の光線で跡形もなく隕石を消して、救ってくれたのです」
「いぃ！？隕石を跡形もなく！？」
「それは凄い…！！」


口から語られた神才マン伝説に
鈴音達は驚愕して、彼の行動を賞賛した。


「…そこから、私たちと神才マンは仲良くなりました…長く交流が続き…神才マンが結婚し……そして、何よりも嬉しい知らせが届きました、それが…天才マン、貴方という子供が出来たという知らせ…」
「……」
「神才マンはあなたが生まれるときを何よりも楽しみにしていました、そして貴方が生まれた時、神才マンはとても喜んでいました、彼は…」


尊敬して、崇めていたヒーローに
子供が出来た、それはオシエ星の人にとって
嬉しい知らせだった
彼と…その赤ちゃんが幸せであることを願った
しかし…


「…しかし、神才マンは…とある戦いを最後に姿を消した…」
「”とある戦い？”」
「…宇宙を掛けた戦いに、向かったのです…」


天才マンがその言葉に反応して聞き返した
そこから…何故、父が自分の前から姿を消したのかが露になった


「…宇宙をかけた戦いに出る前…
神才マンか突然私の元へ訪れてきました……そして彼はこう告げました」



「神使マン、おそらく私はこの戦いではただではすまない……そう、死を覚悟してこの戦いへゆく…」

「……私はこれから息子のそばに居られない…だが、母が直ぐに亡くなり…もう私の息子には、私しか…血の繋がる親がいないんだ…だが私は、行かねばならん」

「……だから……せめて、これだけは息子に残したい、いつの日か息子にこれを渡してくれ…そして、伝えて欲しい…」




「……私はお前のことを愛している、可愛い私の息子、天才……そう残して旅立ち、これを…」



ひときしり説明をし終えた神使マンは、
懐からフォトケースを取り出すと天才マンに手渡した。
天才マンはそのフォトケースを受け取ると
フォトケースを開きその中を見て…
目を見開いて、その中を凝視した。
それを見て鈴音や三兄弟もそれを覗き込む。



「……これは……私と、父さん……？」



そう、その中身は…当時まだ産まれた
ばかりの赤ちゃん天才マンを抱っこした
神才マンの写真だった。
神才マンが天才マンに向ける目線は
穏やかで、優しげで…その写真を
覗きこんだ鈴音は頬が緩んだ



「わぁ、可愛い…！天才マンちっちゃいねぇ」
「これは産まれたばかりだな」
「ほんとに幸せそうですね…」
「本当に…」


唯一残っている、父と2人で写った写真。
その父の目があまりにも優しくて…
天才マンは目頭が熱くなって目を閉じた
神使マンは言葉を続ける。



「……これで、彼との約束は果たせた…唯一残った、その写真を渡すという約束…かなり時間がかかったがようやく…」
「…ありがとう、神使マン」
「……いいえ、私は…私は、ただ…貴方のことを誰よりも愛していた神才マンの事を…あなたに知って欲しかっただけです…」


爺の長話に付き合っていただきありがとうございます、
と神使マンは深深と頭を下げた。


「……神使マン、お前は私の父がどうなったか知っているのか？」
「…いいえ……ですが私は信じています、あなたのお父様、神才マンが生きていると…！！」
「…そうだな、私も信じたい」


天才マンは、父が生きていることを信じる事にした…
会いたくなってしまったから…
心から愛してくれた父に…人目、会いたくなったから、…



「…私は星に戻ります、何かあれば頼って下さい…お力になれることは少ないと思いますが…」
「あぁ、ありがとう」


そして神使マンは宇宙船で自分の星、
オシエ星へ帰って行った…
天才マンや鈴音、勝利マン、
友情マン、努力マンはその宇宙船が見えなく
なるまで見送っていた…



「……」


宇宙船が見えなくなり、天才マンはまた
フォトケースを開いて写真を見る
写真には微笑む父の姿。



「…父さん、いつか私は見つけてみせるよ父さんの事を……なぜなら、私は天才だから」


そう呟いた天才マンの言葉を、鈴音も勝利マン達も聴き逃してはいなかった。
天才マンの肩に手を置いて微笑んだ


「天才マン、私達も一緒に探させて」
「！！鈴音、」
「そうだよ私たち友達じゃないか！！一緒に探すさ！！」
「努力して一緒に探しましょー！！！」
「宇宙一だのなんだのと聞いて俺が黙ってるわきゃねぇだろ！！探すぜ！！」


一緒に探す、そう言ってくれた
仲間に天才マンは涙をうっすらと浮かべて
笑顔を浮かべた


「ああ、ありがとう！！皆…」


いずれ会えると信じて…
その日、深く誓った。
父を探すのだと