観覧車を降りた後に、2人は遊園地を出た
さてあとは帰るだけなのだが…まだ少し帰りたくない
気持ちが鈴音の中にはあった。


「…鈴音、まだ時間はあるか？」
「ん？どしたの？」
「…時間があるならばお前とまだ一緒にいたいと思って」
「！！…うん！私も天才とまだ一緒にいたい！」


天才も同じ事を思っていてくれていたのが嬉しくて頷いた。
その返事を聞くと天才は目を瞑り…


「円周率は、3、1415926535…」
「え？天才？」


円周率を数え始める、すると天才は天才マンの姿へ変身した。
そう、天才はその頭脳の天才ぶりを見せると
天から才能の光が舞い降り天才マンとなるのだ


「天才マン！？あれ、なんで変身したの？」


いきなり変身した天才に鈴音は目を丸くして驚いたが、天才マンはそんなに
鈴音にこう返した



「たまには、戦う目的以外で変身したって構わないだろう？」
「…！！あ、もしかして観覧車での…」


そこで鈴音は観覧車で話した話を思い出した。
変身する際と言えば宇宙人と戦う時以外で、景色を楽しんでいる暇もなかったと言っていた、だから…


「ほら、お前も変身して…行こうか？」
「！うん！」


誰もいないことを確認するとらっきょを取りだして口に放り込んで、ラッキーマンに変身した
変身すると天才マンは鈴音の手を取り高く飛び上がった
2人が飛んで向かい到着したのは…
景色が一望できる山の頂上
そこに降り立ち、頂上の木の根元に2人並んで座った。


「こんな綺麗な所知ってたんだ！さすがだ〜！」
「ふっ、当然だろう？私は天才だからね…絶景スポットも知っている」


肩を並べて、景色を眺める
夕日色に染っていた空は青みがかった
黒い夜空の色とオレンジ色の夕日の
グラデーションになり、より夜景と山からの
自然の景色をロマンチックなものにした。


「…天才マン、綺麗だねぇ」
「…あぁ、それよりも…お前の方が綺麗だがな」
「よしてよ照れるじゃない〜」


くすくすと笑って天才マンの方に頭を預けて、
天才マンはそんな鈴音の肩を抱いてやる
観覧車とはまた違う二人きりの時間。
そんな時間が幸せで、この時間を噛み締める。
景色を見ていた2人はお互いに顔を見合わせると
磁石が吸い寄せられるかのように自然に
2人の距離が縮まって再度唇を重ね合い
キスを交わす。
そんな2人の影を、星々が照らしていた