「…これから、私と君は……恋人同士だ、よろしく鈴音…」
「うん、天才…これからよろしくね」
「…………鈴音……」
「…ん？」
「…その、抱きしめてもいいか？」
「！！」


天才の早速の申し出に目を大きくさせて
意識するような仕草を見せたが…


「…いいよ…」


すぐに照れくさそうにしながらもOKを出した。


「…と、言うかもう恋人同士だから聞くのはナシだよナシ…」
「そうだな…いや、どうしても恋人ができたのが初めてで…」
「初めて、ふふ…私が天才の初めてって嬉しいな…」


そう喋りながらもお互い近づくと、
天才が腕を伸ばして鈴音の細い体
を優しく抱きしめて、鈴音も天才の
背中に腕を伸ばして二人、教室の中で抱きしめ合う。



「……3回目だな、こうして君のことを抱きしめたのは…」
「…うん…あのね天才」
「なんだ？」
「こうやって天才に抱きしめられると…私、安心する…」
「安心、」
「うん…それに天才の心臓の音が聞こえて…心地いいね」


背中に腕を回して天才の事を抱き締め返し
ながら彼の胸に自分の頬を擦り付けて密着させる。
そんな鈴音の様子にぽーっと
照れた様子を見せると彼女の頭に顔を
埋めるようにして赤い顔を隠した。


「……そう、か…」
「……暖かいね」
「あぁ」


暫く、抱きしめ合いお互いの体温を
感じていた天才と鈴音は顔を上げる
と、思わずくすりと笑い合った。
恋人同士になれて嬉しさの反面どこかむず痒くって…ソワソワしてしまう気持ちもあるが、
とても幸せだ。


「帰ろ、っか」
「あぁ…一緒に帰ろうか、送ってく」
「！ありがと…ね、天才…」
「ん？」
「せっかく恋人同士になれたんだからさ…デートとか、したいね」
「！！…そうだな、私もお前と2人でどこかへ行きたい、2人でプランを練ろうか」
「うん！！」


ニコニコと話し合いながら…
恋人同士になれたばかりの天才と鈴音は
幸せオーラを振りまきながら下校して行った。
手を固く恋人繋ぎにしながら…

今日、2人の恋はようやく…叶ったのだった。