好きになった女性だ、というその叫びが
届いた鈴音は口を開けて
呆然とした後に……我に返り、
頬を染めたままで涙をその瞳に溜め始めた。


「……嘘……」
「こんな状況で嘘なんてつくものか…何度だって言ってやる、私は君が好きだ！！」


天才から告げられた…恋の告白。
それが嘘のようで…夢のようで、
でも手を軽くつねって見ると痛くて…
現実だ、とわかると心の底から
幸福感と…喜ばしい気持ちが鈴音の
心に湧き上がり、とうとう嬉しさのあまりに
鈴音の頬に一筋の涙が伝った。


「…天才……本当に、私が…好きって…？」

「あぁ、ずっと…君に助けて貰ってからずっと好きだった…私は、君の特別になりたい…仲間ではなく、友達ではなく一人の男のとして私を見てほしい……だから…」



鈴音の頬の涙を指で拭いとると
彼女の両手を自分の両手で包み込むと、
言葉の続きを彼女に告白した。



「…だから…私は鈴音と恋人になりたい…」



その言葉が鈴音の心に響いた。
恋を自覚してから…なれたのなら幸せだと
思っていた”好きな彼との恋人関係”、
それが今…本当のものになろうとしているんだ…と、静かに流れていた涙はとうとう
とめどなく流れ出して
鈴音はしゃくりあげながら…自分の
本心を告げた。



「う、ううぅ〜…！っぅく、ひっく…私、私もぉぉ…！！私も、天才が好き、大好きなの…！！」
「！！…鈴音…！」
「天才が、ヒーローに戻って、一緒に戦ってくれてた時から…ずっと、優しい言葉をかけて、くれて…慰めてくれて、元気つけてくれた天才の事が…わた、私も…好きだったの…！！彼氏と彼女になれたら幸せだと思って、た…！だから…」


涙を吹くと、まだ赤い目元で笑顔を見せた。


「だから…私も…天才と、恋人になりたい！」
「〜〜……！！」


帰ってきた”Yes”の言葉。
その言葉は…今、自分と想い人であるこの
少女が両思いになり恋人同士になれた
という事であり…天才は真剣な表情から一変、
安心したような明るい表情に変わった。


「本当に…！？……嬉しいよ、鈴音…
こんなに幸せな事は無い…こんなに、嬉しくて幸せな事…！」


思わず目頭が熱くなるが、涙は意地で耐えて…
目の前の彼女に微笑んでみせた
そんな彼の微笑みは、本当に誰よりも美しかった。