「さぁ‥ってお前両親は？」
「生憎、私は両親の記憶というものが本当にあまり‥いやほぼ全くと言っていいほどにないんだ」
「えっ‥？」


悲しむわけでも怒る訳でもなく平然と
単に思い出話を語るが如く天才の口から
家族の話が語られた。


「母は私を産んだ後にすぐに亡くなり‥父は私が生まれて間もなく行方が分からなくなって生きているのかどうかも分からない、両親がいない私は遠い親戚の元に引き取られたんだ」
「「‥！！」」
「あ、の‥ごめん天才‥デリカシーないこと聞いた」
「悪いな‥天才‥」
「ん？私は何も気にしていないぞ気にするな」


けろりとした様子の天才は雰囲気を
変えようと話を続ける。



「父親は‥100万年程前まだ協会が設立する前宇宙を飛び回っていたヒーローだったんだ、ヒーローとしての父の伝説は知っているんだが父親としての父の姿は知らない」
「えっ、天才のお父さんヒーローだったの？凄いね！！名前なんて言うの？」
「神才マンだ、神の才と書いて神才マン」
「へぇー！神才マン‥「神才マンだとーーーーっ！？！？」わぁあ！！？？なに勝利！？」



天才マンが父親の名を出した瞬間
勝利が大きく叫んで勢いよく立ち上がった
突然勝利が大きな声を出したことに鈴音は驚いて彼の方を見る。



「さすがは勝利、知っていたか」
「知っているも何も父さんから何度も神才マンの話は聞いていたからな‥まさかあの神才マンがお前のオヤジだったとはな‥父親似って訳か‥」
「え？え？もしかして天才のお父さんって有名な人‥？」

「有名なんてもんじゃねぇ！神才マンは教科書に載っている程だ‥神才マン、二つ名は名の通り”神の才能を持つヒーロー”！！すざましい程の才能を持ち、その才能を使い多くの星や人を救ったと言われている伝説のヒーロー‥！」
「神に近いヒーロー‥！」
「父さんが戦って負けたと言っていた程だ、神才マンの実力は当時それこそ宇宙一だったんだろうよ‥」


ごくり、と唾を飲み込みながら勝利が説明をする
その説明を聞いて凄い人が父親なのだと
天才を見た。


「さすが勝利マン、よく知っているな」
「宇宙一となれば俺が黙っていねぇぜ！！いつかお前と決着つけて俺が宇宙一になるためにもな！！」
「ふっ、この天才に勝てるかな？」
「‥」


いつものやり取りをし始めた天才と勝利を見て
鈴音はどこか考えていた。


「(神才マン、かぁ‥)」


天才の方を見る。
両親の話をしている間彼は平然としていたが…


「(‥天才‥)」


彼のことを気にしながら、勝利と天才の
やり取りが盛り上がるのを見ていた。