鈴音の部屋に上がった天才と勝利は
部屋に置いてあったちゃぶ台に問題集を広げて
早速鈴音に勉強を教え始める、だが‥


「鈴音この問題は引っ掛け問題になっているんだぞ、ここは‥」
「ふんふん！なるほど！」
「ここはこれをこうすりゃいいんだよ」
「わっ！？勝利！？あっ、わかりやすーい！」
「勝利め‥」


天才が教えるために顔を近づければ
勝利が真ん中に入って邪魔をし
また勝利が教えながら顔を近づければ
天才が引き寄せて教え‥と、取り合いをしながらも
勉強会は開かれていた。


「2人とも教えてくれて助かるよ〜！覚えやすいし！」
「それは嬉しいよ(明らかに邪魔をしている)」
「勝つためには頭も良くねぇとな(渡してたまるかよ)」


ハハハ、と笑いながらも勝利と天才の間には
また火花が飛び散り始めたが鈴音は
気づいていない様子だった。



「あ、もうちょっとで問題集ページ終わっちゃいそうだね」
「問題に出る範囲はもうこれくらいだな」
「じゃあ勉強おしまいかな？」
「おう、大丈夫そうだな」
「じゃあこれからはゆったりしよーよ！疲れたぁ〜！」


うーん‥！と背伸びをするとパキ、ポキと
音が聞こえる
鈴音が伸びを追えたタイミングで
ドアが小さく叩かれた
ドアの方を見れば伊八代がクッキーとオレンジジュースを持って微笑んでいた。


「はーい皆さ〜ん、お勉強お疲れ様ジュースとクッキーでもどうぞ〜！」
「あっ、ママ！」
「わざわざどうもありがとうございます」
「頂きますっす」


ぺこり、と天才と勝利が小さくお辞儀をして礼を言う。
そして伊八代は鈴音の耳元によると小声で話し始めた


「ね、ね、鈴音ちゃん！どっちもかっこいいけれどどっちが鈴音ちゃんの彼氏？」
「へ？！か、かか彼氏！？そんなんじゃないよ！友達！！」
「なーんだ、ママつまんなーい」


唇をとんがらせて伊八代ママは部屋を出ていった。
もう何言ってんだろ‥と顔を赤くする鈴音に天才と勝利は


「「(俺/私が彼氏だって言えばいいのに)
」」


と内心思っていた。


「もー、ママったら何言ってんだろ‥さ、二人とも良かったらクッキー食べて食べて！ママが焼いたの美味しいんだよ！」
「ああ、頂こう」
「おう‥‥ん？」
「ん？どうしたの勝利」
「おい鈴音あれ」
「えっ？」


勝利に言われて後ろを見れば今度は
止郎パパがドアを少し開けてその隙間から
3人のことを覗いており鈴音はずっこけた。


「な、パパーーー！？！？何してんの！！」


すかさず鈴音は止郎パパの元へ向かいドアを閉めて止郎パパに掴みかかった。


「鈴音がもしかして二股かけてんじゃないのかと思ったんだが鈴音どうなんだ！」
「そんなんじゃないってば！！もーパパもママも！！ほらほら１階戻って！！」


止郎パパを1階に戻して少し疲れた様子で
2人の元へ戻った
戻ると既に天才と勝利はクッキーを口にしていた。


「ごめんごめん二人とも‥もーパパもママも‥」
「いい父さんと母さんじゃねぇか、そういえば父さんもえらい心配性だったな‥」
「へぇ！三本柱マンも？」
「ふっ、いい父だったんだな」


そう話していた鈴音はそこでふと
天才に目をやった。
‥そういえば‥



「(そういえば、天才の家族ってどんな人なんだろう？)」


そう、目立や三兄弟の両親の話は聞いたが‥天才の家族のことはしらない


「そういえば、天才のお父さんやお母さんはどんな人？」
「え？」
「天才の父さんと母さん？‥そういやお前の口から家族の話は聞いてねぇな」
「そう、だから気になったんだけど‥」


そこでふと黙り込んだ天才にはっ、と
鈴音の脳内に初めて鈴音が
努力に兄弟のことに触れた過去を思い出した
まさかわけアリの過去があったのでは、と冷や汗を垂らす。


「あ、天才‥」


言いたくないなら、と言おうとしたが
天才は平然としたままケロリとした様子で答えた。


「‥さぁ‥？」

「「え？」」


鈴音や勝利は思わずぽかん、とした。
「聞くな！！」と叫んで逃げるか‥怒るか‥
そんな反応が来るかと思えば、全く違う反応。