席替えが終わり普通の授業が始まった、が
授業が暇で窓際の後ろの席になった鈴音は窓から景色を眺めて
時間を潰していた…


「(私数学苦手ー…あ、あの雲ハートみたい可愛いー)」


ぽやーっと景色を眺めているのは好きだ。
無心になれて何となく幸せな気分になれるから…
ぽやーっと景色を眺めていると
何となく視線を感じた。


「(なんか見られてる…？先生に見られてるのかな…？)」


注意されるかもしれない、と前を向けば
善良教師マンは鈴音に目を向けては
おらずそのまま授業を続けており
鈴音は首を傾げた。


「(あれ？)」


じゃあ誰が見ているのだろう？と
疑問を抱いた鈴音…
そしてそんな彼女を見ているのは…


「……」
「(…ちょっとした行動も、可愛い…)」


顔を緩めて頬杖をついている天才だった。


「(うーん…あっ…？)」
「ん」


隣の席になった彼女の事をじっと見ている
天才の存在に、鈴音はようやく気がついた。
ふと隣に目をやり、ぱっちりと目が合う。


「(天才？)」


どうしてこっちを見ているのだろう、と
？をうかべた鈴音。
天才の方は鈴音と目が合い一瞬
目を逸らしたが直ぐに目を細めて穏やかな
笑顔を浮かべて小さく彼女に手を振る。


「…♪」
「！」


その天才の笑顔が綺麗で…
鈴音は思わず顔を赤くして
小さくてを振り返すと教科書で顔を隠して
授業を聞いてる振りに徹した。



「…(手応えありだな、今私の方を見て照れていた…)」
「(な、なになに…？心臓が、うるさいや…)」


天才の方は手応えを感じて、
鈴音が一瞬でも意識してくれた事に
嬉しさを噛み締めて…
鈴音の方は天才の笑みに意識して
胸を高鳴らせながら教科書に目をやった、
が当然ながら内容なんて入ってこない。


「(…まだ鳴り止まないや…)」


ちら、と天才の方を見てまた教科書に目をやって…
なぜだか、隣の席である彼との
距離が「近い」と思ってしまい…
なぜだか、落ち着けなくて…


「…(落ち着か、無い…なにこれ？)」


そのもじもじや落ち着きのなさが何かは…
鈍感で、恋なんてまだの鈴音には
分からなかった…