今日は鈴音達のクラスは大賑わいの
大騒ぎだった。
なぜなら今日は席替えの日だからだ…
女子は当然ながら勝利または天才の隣を狙い
男子はみっちゃんまたは鈴音の隣を狙う…
しかし席替えと言うものは運で決まる。
気に入った席が来るかどうかは運次第なのである…



「席替えかぁー…です代ちゃんの隣じゃなくなっちゃうの寂しいよぉ…」
「席が変わってもいつでも話せるじゃないよしよし」


寂しがってです代に抱きつく鈴音の
頭を優しく撫でてやるです代。
そんな鈴音の様子を見て努力は
本当に2人は仲がいいなぁ、と頷いた。


「次の席、どこになるかなぁ？くじ引きなんだよね？」
「私たち近い席だといいですね！！師匠ーーっ！！」
「うん！そうだね！！んで…」


ちらり、と鈴音は他の女子たちを見やる。


「「生月くんの隣隣隣隣…！！！」」
「「磯野くんの隣隣隣隣…！！！」」

「ひぃぃ怖い…」


恋する女の子は可愛いとは思うけれどこれは
さすがに怖いぞ、と眉を下げた。
両手を組んで必死にくじが入った箱に向かって祈る女子たち…
一方その磯野くんと生月くんはと言えば‥


「「(…鈴音の近く‥)」」


鈴音と近い席が来て欲しい、と
箱を睨みつけながら願っていた。
そしてドキドキの席替えを行うために
善良教師マンが前に立った。


「はーい、では席替えを行うのでーす呼ばれた人からくじを引いて席を変えるのでーす」
「「はーい！！」」


こうして行われた席替え。
クラスメイトは次々に呼ばれてくじを引き、
くじの場所に席をうつっていく。



「はーいでは次！追手内さーん」
「はーい！」


そして順番が来て鈴音が呼ばれた。
前に出るとくじが入った箱に手を入れて、
一番に手に当たったその紙を手に取って広げる…
当たった席は…


「あっ、後ろの窓際だー！やったぁ！」


窓際の後ろという中々いい席があたり
喜び舞い上がる鈴音
るんるん気分で荷物を取って席に移動して
座った鈴音は隣にまだ
誰もいないことに気がついた。


「そういえば私の隣、誰になるんだろ？楽しみー」


後ろの窓際が来たことにルンルンだった
鈴音はその後のくじ引きなんて
耳に入らず窓からの景色を楽しんでいた。
ぽーっと窓からの景色を見ていると
隣に誰かが移動してきたのか椅子が動く
音がして隣を見る。
隣の席になったのは…


「あっ、お隣？これからよろし…」
「ふっ、隣だな鈴音」
「えっ！！天才！？」


そう、天才だった。
キラキラと金髪の髪を靡かせて
爽やかな笑みを浮かべた彼に鈴音は
素っ頓狂な声を上げた。


「今回天才が隣なの？よろし…」


く、と言おうとした所でまた前に生徒が
一人…知り合いが移動してきた。
その生徒とは…


「よぉ」
「勝利！？」


勝利だった。
片手を上げて挨拶した彼に
また知り合いが近くの席になって
なんの偶然なんだろうと驚いた。


「お前がこの席に来るのはわかっていた、天才だからな」
「へっ！言ってやがれ…！」


天才と勝利からすれば好きな女性の近くの席になれて万々歳だが鈴音は
他の女子の羨ましげな視線を受けて冷や汗をかいていた。


「(し、視線が…)」
「(これから隣で彼女の事を見れる…)」
「(よっしゃ、鈴音の前取った)」


しかし知り合いが近くの席になるのは
これだけではなくて…



「師匠！！どうも！！」
「アレ努力！？」


今度は努力が勝利の隣へやってきた。
どうやら努力は勝利の隣を引いたらしい


「お前が隣か」
「兄さん隣ですね！！」


知り合いがどんどん集まってきた…と
鈴音は頬を描いた
もはや偶然通り越して仕込まれてるのでは？
とぶっちゃけ疑い始めた。


更に勝利と努力の前が友情と目立、という
組み合わせで…本当に仕込まれていることを疑ったが本当に偶然らしい。
それでも知り合いと近い席になれて
嬉しい鈴音だった。


「えー、ではしばらくはこの席でやっていくのでーす皆さん仲良くするのでーす」
「「はーい」」


こうしてドキドキの席替えは終わったが…
鈴音のドキドキはここからだった。