勝利のその答えに二人しかいない教室は
シーン‥と静まり返る
その答えに天才は目を見開いた
分かってはいたが驚きは隠せない。
自分の想いを知っていていたという事実にも‥
想い人が同じだったという事実にも‥



「‥‥惚れた女が同じ、の恋のライバル‥‥‥‥やはり‥やはりお前も、鈴音の事を‥」
「‥‥おう好きだ、なんか文句でもあんのかよ」



あっけらかんとして答えて見せた勝利兄さん大して表情を引きしめて話を続ける天才。



「‥一体、いつから‥私が彼女を好きだと」
「お前バレバレなんだよ！これでも俺は恋愛経験豊富なんだぜ？気づかねぇわけねぇだろ、もう最初から気がついてた」
「ば、バレバレだったのか？」
「分かりやすかった」


うんうんと頷いて見せる勝利に
バレバレだったことを知って少し
顔が赤くなる天才。



「そ、そういうお前は！！どうやって鈴音に惚れたんだ！！」
「俺か？俺は‥」


勝利は少し目線を逸らすと
鈴音に惚れた流れを話し始めた。


「いつから惚れてたなんてのはわかんねぇがお前よりも惚れたのは先だった、俺はあいつの笑顔に‥温かさに惚れたんだ」
「‥‥(私と同じだ‥‥)」
「それと、あいつが絶対に負けない女だったからってのもあるだろうな」
「負けない女？」
「俺の好みのタイプは”絶対に負けない女”なんだよ、あいつはそうだろ」
「‥お前らしい」


そこまで話すと勝利は天才の方に向き直り
目を鋭く光らせた。



「‥だからこそ俺は鈴音の事を手に入れたい、お前だって思ったことはあるだろ？」
「！！」
「それはまあ思ったことはある、私だって妄想したさ‥彼女が‥私の事だけを”好き”だと言ってくれるのを」
「はっ、そうだろ？俺だって同じだ！だからこそ‥お前に今ここで宣戦布告を叩きつける」


椅子から立ち上がって天才に1歩、2歩と
近寄るとその胸に軽く拳を当ててニヤリと笑った。



「お前に鈴音は渡さねぇ、あいつの恋心は俺のもんだ」
「決めるのは彼女だ、私は‥必ず鈴音に選ばれてみせる、初恋は必ず実らせる」


そんな勝利に大して天才も不敵に笑って
返して見せてその宣戦布告を受け取った。
こうして始まったのだ、恋の戦いが‥