「ど、どっちが好きかっていきなり何〜！！？？ど、努力ちゃん説明して〜！！」
「師匠実はかくかくしかじか…」


テンパリながらも努力に説明を求める鈴音
努力にどういう事だと聞いてみれば簡単に
言えばただの喧嘩。
どちらを選んでも恐らく大変な事になると
察した鈴音は汗をダラダラと流した。


「そ…それでどっち派か選べって〜…？」
「そうだ！！鈴音、俺が好きだって言え！！そうすれば俺が守ってやる！！」
「いいや鈴音…私を選んでくれ、そしてお前は私が守る」
「え、え…？」


手を勝利と天才に掴まれてきょろきょろと
2人の顔を交互に見る
神経な面持ちで見られて目線を下に移す。


「鈴音」
「鈴音…」
「………私…私は…」


下を向いたまま声を出した鈴音に
一同が唾を飲んで見守る。
どちらを選ぶのかと…しかし彼女がだした答えは


「……ごめん、選べない、どっちも選べない」
「「！？」」


どちらもＮＯ の答えだった
突然、勝利は鈴音に掴みかかった


「なんでだよ！！おい！！」
「だ、だって！私がどちらかを選んだら…絶対喧嘩だとか決闘だとかだとか言って大喧嘩しちゃいそうじゃない！！そんなのダメだし嫌だよ…！！」
「鈴音…」


鈴音の言葉に天才がはっ、と
した顔をして彼女の腕を放した。
周りのクラスメイトもしん、と黙り込む。


「だからごめんね、私…2人に喧嘩して欲しくないから…選ばないよ、だって勝利も天才も友達だもの怪我して欲しくない」


少し震えて不安げな顔をしながら
言葉を続ける鈴音…


「ヒーローはみんな仲良くしなきゃ」
「師匠ぉぉ…！！さすがお優しい！！！」
「うんうん、これこそが真の友情なり…！」


努力が感動に涙し、友情が頷く。
周りのクラスメイトも感動している様子だ。


「鈴音…お前私達を傷つけたくないから…」
「ヒーローは皆仲良くか、そうかもしれねぇな」
「「……………」」
「‥この勝負彼女に免じてお預けにしとくか」
「ああ、そうだな」

「…！よ、よかった…！」



目を合わせてふっ、と笑い合い
勝負を次に回した天才と勝利に
鈴音が安心そうに笑った
彼女のおかげで大喧嘩は未然に防がれた…
が、心の中で天才は少し残念に思っていた


「(…本当は私を、選んで欲しかったんだがな…)」


鈴音に人知れず想いを寄せている
天才は少し、自分を選んでくれるのでは
ないかと期待をしていた様だが…予想が外れて残念そうだった
背を伸ばして隣にいる勝利に目をやった天才は……彼の異変に気がついた


「…？」
「…………」


勝利が誰かをじっと見つめている。
誰を見つめているのかと目線をおってみる…と、すっかり安心した顔をして努力と
喋っている鈴音に辿りついた。


「…………(鈴音を…じっと見ている…？)」



何か言いたげに見つめる勝利に
どこか不安を覚えながらも疑問を抱く天才

恋の戦いが 始まる予感がした