「っふ、う…ぅ、ぁ、ぅ…！！！」
「！？ラッキーマン！？なぜ泣くんだ」
「そんなに嬉しかったのか…！？」


「違う、違うよ全部違う………過剰評価しないで、私そんな立派なヒーローじゃない、」


しゃくりあげて泣きながら言葉を続けた



「私、私、世直しマンの事倒してない、私は、私は世直しマンに助けられた」

「「！？」」


「燃えるロケットの中から、世直しマンが私のことを助けてくれた……「お前こそが宇宙一だお前は生きろ」そう私に託して…世直しマンは、あのまま…！！」



泣きながら告げられた真実に
ヒーロー達は信じられないという顔をしていたが
鈴音の様子からして真実なのだ、と受け止めた。



「私は…私は無力だよ、だって、だって目の前の助けるべき人を助けられなかった！！世直しマンは、正義の心を取り戻してくれた！！なのに！！私は助けられなかった！！」



溢れる涙がコスチュームを濡らして、
悲痛な叫びがその場に響く。
鈴音のその涙は後悔と悲しみの涙

そして、助けたい人を救えなかったという
悔しさの涙‥



「悔しいよ‥‥悔しいよぉ‥！！！」
「「‥ラッキーマン‥」」
「師匠‥」



声を上げて泣く鈴音に、それを見た
ヒーロー達も感化されて涙が出そうになるものや
もう泣いているものがでてきた。

その中…鈴音に歩み寄るものが一人いた

コツ、コツとヒールの音を鳴らしてマントを
揺らし…崩れ落ちて泣く鈴音の前まで来ると


「‥‥‥‥」
「‥！？」


鈴音の事を正面から、胸の中に
閉じ込めて抱きしめたそのヒーローは…


「てんさい、まん…？」


そう、天才マンだった
泣いていた所突如温もりに包まれ、
目を開けると優しい目をした天才マンの
顔が上にあった。
天才マンは彼女を抱きしめたまま
ゆっくりと語りかけた

「…泣くなとは言わないよラッキーマン、泣きたい時は泣けばいい…しかしこれだけは言わせて欲しい、君は無力なんかじゃない」
「…君の優しさとそのラッキーが、世直しマンの心を救って正義の心を取り戻したんだ…無力だと嘆くのは間違っている、お前はこの宇宙のヒーローだ」

「天才マン‥」


「ラッキー様」


次に声をかけたのはみっちゃんだった
彼女は優しい笑顔で鈴音に語りかける


「ラッキー様、泣かないで‥貴方は見代のヒーロー、だって命を助けてくれたもの‥」
「みっちゃん‥」
「ラッキーマン‥よっちゃんの事を、思って泣いてくれてありがとう‥そして、彼の正義の心を取り戻してくれてありがとう‥‥ラッキーマン、君が全てを背負い込むことは無いんだ、君はまだ若い‥君の悲しみも辛さも、私たちが一緒に背負おう」
「会長‥」


みっちゃんの次に優しく語り掛けたのは
会長だった
会長は、穏やかな笑顔で鈴音の頭を撫でた。
優しい言葉に鈴音の涙腺がまた緩んで涙が溢れ出す


「会長の言う通りだよ、君は素敵なヒーローだ」
「自分を責めるんじゃねぇぞラッキーマン」
「師匠は最高の宇宙の救世主ですよ！！」
「友情マン‥勝利マン‥努力マン‥」


ぼろぼろとまた泣き出した鈴音を
また天才マンが抱きしめる。


「‥泣きたいのならば沢山泣け、そして気持ちを洗い流すんだ‥‥私の胸でいいのならいくらでも貸そう」
「っ‥‥‥う、うぅ‥うわぁぁぁぁん‥！！」


天才マンの背に腕を回してしがみつき‥
鈴音は大きな声で思いっきり泣いた
天才マンはそんな鈴音の背中をさすり‥
黙って彼女の涙を受け止め続けた
鈴音が泣き止むまで‥‥‥










そして鈴音は数十分後にようやく泣きやみ始めた。
泣きやみ始めて落ち着いたのか目元の涙を拭う鈴音


「っぐす‥」
「落ち着いたか？」
「うん‥」

「そんでよぉ‥‥お前らいつまで抱きしめあってるつもり？」

「えっ、え？‥‥あ！！ごっごめん！！天才マン！！」


スーパースターマンの指摘に、鈴音は真っ赤になりながら天才マンから離れた。


「いや、構わないぞラッキーマン」
「ありがとね、天才マン‥」
「落ち着いたのならば、何より」



少し赤い顔で天才マンが微笑んで
手下達‥もとい地球人達が鈴音に
声援と礼を叫んで送った


そして宇宙に、平和が訪れたのだ‥