第1話
五「紹介しまーす。怪我で休学してた」
「五条白夜。もう一度3年生やることになりました。よろしくね」
悠「はじめまして!1年、虎杖悠仁ですっ!え、五条?」
五「あ、さっそくそこ気付いちゃった?」
この子が宿儺の指を取り込んだっていう…
めっちゃ良い子そうだなぁ
五「ではここでクエスチョン!僕と白夜はどういう関係でしょうか?」
悠「うーん、なんか雰囲気似てるし…兄弟とか!」
五「兄弟かぁ。やっぱりそう見えちゃうんだね」
悠「え、違うの!?」
からかってるなぁ
五「正解は…白夜は僕の、嫁でーす!」
「は!?」
先に反応したのはオレだった
悠「え、嫁!?」
五「あれ、違った?僕はそう思ってるんだけどなぁ」
「……違わ、ないけど」
悠「違わないんだ!?」
…確かに悟とそう約束した覚えがある
五「正確には、白夜は僕の従弟で、養子」
悠「えっと…従弟で養子で嫁…。頭こんがらがってきた…」
「悠仁、細かいことは考えなくていいよ。君にとってオレは3年の先輩」
悠「あ、そっか。うっす!」
五「白夜は優秀だからね!分からないことがあったら、何でも聞くといいよ♪」
「分からないことを教えるのが教師でしょ」
五「えー?白夜のほうが教えるの上手だし」
「教師にあるまじき発言だね」
まぁ悟らしいけど
悠「それで先生、俺はどうしたらいい?」
五「そうだね。近接戦闘に関しては悠仁は頭一つ抜けてると思うよ。今覚えるべきは、呪力の制御。そして呪術に関する最低限の知識だね」
悠仁がニコニコしてる
五「どうしたの?」
悠「いや、やっぱ修業つけてもらうなら、五条先生がいいと思ってたから嬉しくて。俺は弱くて誰も助けらんなかった。それどころか伏黒を殺しかけた。今のままじゃアイツらに顔向けできねぇよ」
悠仁…
悠「強くなりたい。『最強』を教えてくれ」
五「フッフッ、お目が高い」
悠「先生自分で最強って言ってたけどね」
その間にもオレは缶ジュースを2つ用意
五「ではまずあちらの缶ジュースをご覧ください。白夜、頼んだよ」
「はいはい」
オレは缶ジュースに手を向ける
パカァンっ!!!
ベキベキ!!!
悠「おおっ!?」
2つの缶ジュースは、それぞれ違う形に
五「こっちが呪力で、こっちが術式」
つまりは、普通に凹んだほうが呪力
捻ったのが術式だ
悠「なるほど、分からん」
五「うーん、そうだね。呪力を電気。術式を家電に例えようか。電気だけじゃちょっと使い勝手悪いでしょ。だから家電に電気を流して様々な効果を得るわけ。こっちはただ呪力をぶつけただけ。こっちは呪力を術式に流して発動させた呪術で捻ったの」
悟にしては分かりやすい説明だね
悠「つまり!!これからチョベリグな術式を身につけると!」
五「いや、悠仁は呪術使えないよ。簡単な式神とか結界術は別として、基本的に術式は生まれながら体に刻まれてるものだ。だから呪術師の実力は才能がほぼ8割って感じなんだよねー」
悠仁が急にぺらっぺらの紙みたいに床に脱力しちゃったけど
「悠仁…?」
五「大丈夫?」
悠「いや俺もサンダーとかファイヤーとかパワーボムとかできると思ってたから」
五「パワーボムはできるでしょ」
五(今は使えないだけ。そのうち君の体には宿儺の術式が刻まれる)
五「できないことはガン無視してこ!君の長所を更に伸ばす。悠仁の体術に呪力を上乗せするんだ。下手な呪術よりも、こういう基礎でゴリ押しされた方が僕は怖いよ」
その瞬間、ぺらっぺらの悠仁がピクっと反応した
五「さっきも言ったけど、肉弾戦の才能はピカイチだからね」
悠「でもでも!それなら俺もうできるぜ!!」
五「起きろよ」
ふふ…なんかこのやりとり面白いなぁ
悠「あの時なんとなくコツは掴んだ」
五「じゃあやってごらん。どうせできないから」
悟は手のひらを出し、ここに打ち込んで。と。
悠「ケガしても知んないよ?」
五「いいから、はよはよ」
悠仁はおもいっきり悟の手に打ち込んだ
だが、それはただの打ち込みで
五「篭ってなかったね、呪力」
悠「なんで!?」
五「呪力の源は負の感情。君の言うあの時は、怒りや恐怖に満ち溢れていたんだろう」
悠「呪力を使う時は常にブチ切れてなきゃいけねーのか!確かに伏黒もいつもキレ気味だったかも!」
五「違ウヨ」
「あはは!悠仁ってほんと面白いね!」
悠「あれ、俺そんな面白いこと言ったかな…」
五「皆わずかな感情の火種から呪力を捻出する訓練をしてるんだ。逆に大きく感情が振れた時、呪力を無駄遣いしないようにもね。訓練方法はいくつかあるけど、悠仁にはかなりしんどいのやってもらうよ」
悠「ど…どんな?」
五「映画鑑賞!!」
悠「映画…鑑賞??」
机にはたくさんの映画のDVDが置かれている
五「そ。名作からC級ホラー。地雷のフランス映画まで。起きてる間はぶっ通しでだ」
悠「??」
五「もちろんただ観るだけじゃないよ。コイツと一緒に観るんだ」
「あ…」
それは見たことのあるぬいぐるみ
悠「何このキモカワイイ人形」
五「カワイイか?」
え、普通に可愛くない?
オレだけ?
五「学長特製の呪骸だよ」
悠「あー!!やっぱりか!!趣味が同じ!……で?全然要領得ないんだけど」
五「焦らない焦らない。そろそろだよ」
すると、寝ていた呪骸が目を覚まし、悠仁にパンチを食らわせた
五「その呪骸は一定の呪力を流し続けないと目を覚まして、今みたいに襲ってくるよ」
悠仁は痛そうに顔を押さえている
五「さっきも言った通り、ここには色んな映画が揃ってるから、ドキドキハラハラワックワク。泣けて笑えて胸くそ悪くなれる。まずはその呪骸を起こさず映画を一本、無傷で観通すこと。これがどんな感情下でも一定の呪力出力を保つ訓練。多過ぎても少な過ぎても駄目だよ。今は悠仁でも出せる程度の微弱な呪力に設定してあるけど、徐々に大きな出力を要求してくるから、常に気を抜かないようにね」
悠「抜きたくても抜けねーよ、これじゃ」
五「何から観る?これなんてオススメだよ。ヒロインがムカつくんだけど、最後派手に死ぬの」
悠「すんげぇネタバレ」
「ほんとにねー」
悠「最初はアクショ、ン゛!!」
あ、パンチ食らった
悠「もーーー!!も゛ぉーーーー!!!!」
悠仁はイラついて呪骸を床に投げ捨てる
五「はい。イライラしても呪力は一定」
(悠仁、頑張れ)
悠(白夜先輩…!)
五(白夜はほんと後輩思いだね、昔からだけど)
(自分が辛い思いした分、後輩たちにはそういう思いしてほしくないからね)
悠(白夜先輩マジ天使…!!)
五(分かってるじゃない悠仁。そう、白夜は天使!)
(…悟、何言ってんの)