第1話
「………」
目が覚めたら、そこはよく来ていた病室のベッドで
気付かぬうちに涙がこぼれていた
久しぶりに思い出した
昔のことを
「オレ…確か1人で特級と1級の討伐任務に行って……」
そうだ
今にも倒れそうな身体で、全部祓って、そのあと
あー、オレ死ぬのかなぁ。悟に伝えたいこと、まだあったのになぁって。
でも、まだオレは生きてたんだ
きっと硝子さんがオレを治そうと頑張ってくれたに違いない
「…悟に、会いたいなぁ」
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その頃、死んでいた1年の虎杖悠仁が生き返り、五条悟の機嫌も良くなっていた
家「あー、報告修正しないとね」
五「いや、このままでいい。また狙われる前に悠仁に最低限の力をつける時間が欲しい。記録上、悠仁は死んだままにしてくれ」
家「んー?じゃあ虎杖がっつり匿う感じ?」
五「いや、交流会までには復学させる」
家「なぜ?」
五「簡単な理由さ。若人から青春を取り上げるなんて、許されていないんだよ。何人たりともね」
家「…それで?今日せっかくこっち来たんだし、白夜に会っていくだろ?」
五「ああ、もちろん。1日1回は白夜補給しないとやってられないし」
家「…そ」
白夜の病室に向かう二人
ちなみに、白夜の病室は鍵がかかっており、その鍵は硝子が肌身離さず持ち歩いているので、硝子がいないと入れない
鍵をかけている理由はもちろん、白夜に危険が及ぶのを防ぐためである
討伐任務と理由をつけて白夜を殺そうとした上の連中のことだ
また白夜に何かしないとも限らない
病室の前に着き、いつものように鍵を開ける
そして、五条悟が先に病室に入った
五「さて、今日も白夜補給を……」
「…さ、とる……?」
五「……え、白夜…?お前、目が覚めたのか…?」
聞いていた硝子が、まさか。と病室へ入る
家「白夜…!?」
「…悟と、硝子さんだ……」
五「…はは、今日はほんとに良い日だなぁ」
「…悟?」
悟はオレを優しく抱き締めてくれて
五「…おかえり、白夜」
「…!ただいま、悟」
そっと、抱き締め返す
傍らで硝子さんも笑みの表情を浮かべていた
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「え…オレ、半年も寝てたの!?」
五「そうだよー?」
家「怪我は治ってるのに意識が戻らなかったんだ」
そうなんだ……
五「白夜。最後に行った任務、覚えてる?」
「あ、うん…」
五「あれ、上の連中がわざと白夜を1人で行かせたんだよ。あわよくば白夜が死ねば僕が悲しむと思ってさ。僕への嫌がらせなわけ」
「…そうだろうと思ったよ」
家「気付いてたの?」
「だって、普通におかしいでしょ。特級と1級が何体かいるってのに、1人で行かせるとかさ」
五「知っててどうして行ったの?」
「…どうせ空いてる呪術師はオレしかいなかっただろうし、オレが行かなきゃ被害が拡大すると思って。それに伊地知さんもきっと怒られるし」
五「ほんと、白夜は優しい子だね」
「オレは悟に育ててもらったんだよ。だから、悟のおかげ」
家「こいつに育てられて、ここまで優しい子が育つって奇跡だな」
「…悟、ひどい言われようだね」
五「ほんとにねー」
家「あ、そうだ。白夜が目を覚ましたこと、報告していいのか?」
五「いや、白夜も悠仁と同じタイミングで復学させたいと思ってるから、報告はなしね。あ、でもさすがにあの人には言っておかないとキレるかなぁ」
あの人……
家「あー、はいはい」
五「あの人には僕から伝えておくよ。そうだ、白夜。これからのことだけど、このまま4年生するか、それとももっかい3年生するか選んで♪」
「え、もっかい3年生やれるの?」
五「白夜なら許してもらえるっしょ!白夜がやり直したいならね」
「…やり直したい。もう一度、3年生やりたい!」
五「分かった」
(ところで、悠仁って誰?)
五(あー、今年入った1年生だよ。かくかくしかじかあってね…)
(ふむふむ、そんなことが…)
五(しばらく一緒に過ごすことになるから仲良くしてあげてね♪)
(分かった!)