第19話
目を覚ますと、そこは見慣れた天井と見慣れた部屋
「あれ…オレ、確か…」
五「…!白夜、起きた…?」
そばには悟がいた
「…悟、オレ…」
五「…刺されたんだ。覚えてる?」
「あ……」
そうだ
オレは、あいつに刺されたんだ
「あいつに…ストーカー男に、刺されて…っ、痛っ!」
五「まだ無理したらだめだよ。完全には傷口塞がってないんだから」
「ご、ごめん…」
五「…今、ストーカー男に刺されたって言ったよね。じゃあやっぱりそいつが犯人で間違いないな?」
「うん…。『僕のものにならないなら、誰のものにもならないように死んでよ』みたいなこと言われた気がする…」
五「…分かった。もう十分だよ、白夜」
「……」
なんだろ
悟の様子がおかしい気がする…
「あ…悟、隈が……」
悟の頬に触れる
隈ができるってことは、寝てないということ
「…悟、寝てないの…?」
五「…寝てるよ。僕のことは心配しないで、自分の体のことだけ心配して」
……嘘だ
絶対寝てない
もしかしてオレ、そんなに危なかったの…?
五「僕、ちょっと用を思い出したから、行ってくるね」
「あ…」
悟はそう言って出ていった
「…悟」
そのあと、硝子さんがやってきた
家「白夜、体調はどう?」
「…うん、大丈夫だよ。ありがとう、硝子さん」
家「どうかしたか?」
「…ねぇ、硝子さん。悟、大丈夫かな…」
家「確かに今の五条は、ある意味白夜より心配かもね」
「……硝子さん。オレもう外に出ていい?」
家「ダメに決まってるでしょ。完全には治ってないんだ。無理したら傷口が開く。言っとくけど、あと少しでも遅かったら死んでたからな?」
「…分かってる。けど、どうしてもやりたいことがあるんだ。だからお願い、硝子さん」
家「…はぁ。たく、しょうがないやつだね。腕出して。念のため薬打っとく」
「ありがとう…!」
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オレは現在、外にいる
デートの時に悟にあげた、オレの呪力入りネックレスを悟はしてくれているらしく、自分の呪力をたどっていた
きっと悟は、復讐しようとしている
なんとなくだけど、そう感じたんだ
呪力を辿ると、とある家の隅で隠れながら様子をうかがう悟の姿があった
……悟、一人で背負わないでいいんだよ
悟は何も悪くない
オレは携帯を取り出し、電話をかけた
五「…もしもし」
出てくれないかもしれないと思いながらだったが、いつも通りワンコールで出てくれた
「…悟、オレのお願い、聞いてくれる?」
五「…なに?」
「…オレの『復讐』に付き合って」
五「え…?白夜の、復讐?」
「そう。死にかけたのオレだよ?そんなオレが復讐したって何の問題もないよね?」
五「……そう、だね」
「じゃあさ。今からオレが指定する場所まで、ストーカー殺人未遂男取っ捕まえて連れてきてくれる?」
コンコン
「どうぞ」
五「連れてきたよ。色々、言いたいことはあるけど。とりあえずこいつ、どうする?」
ストーカー男は、拘束され、テープで口を塞がれていた
「そのままどこかに縛り付けといて。動けないようにだけしてくれたらいいから」
五「分かった」
男はオレを見て驚いている様子だ
「…こんばんは。びっくりしてる?そうだよね。おまえ、オレを殺したと思ってたんだろうし。けど残念。オレは生きてるよ」
んーんー言っている男はとりあえず後だ
五「で、白夜。何で外出してるの。動ける体じゃないでしょ」
「ことは早いほうがいいでしょ。体なら大丈夫。硝子さんから許可はもらったから」
痛み止めの薬とか色々打たされたけど
五「…はぁ。それで?なんでラブホ?」
そう
指定した場所はラブホだ
もちろん適当に決めたわけじゃない
「そりゃ、この男を一番苦しめる方法が、ラブホならし放題だからだよ」
五「…それって、まさか」
「…こいつさ。前に会った時言ってたんだ。セックスさせてくれって。オレに送ってくる荷物だって、そういう性的なものばかり。こいつは、オレのことをそういう目で見てる。あたかもオレとセックスしてるような感覚になってるんだ。だから、オレが別の男とやってる姿を直接見せることによって、こいつの今までの妄想を全て崩壊させ、苦しめることができるってわけ」
五「……はは。あはははっ!!白夜ってほんとイカれてるよね!」
「当然。だってオレ、呪術師だもん」
(だからさ、悟。オレと、えっちなこと、しよ?)