第17話
悠「え、白夜先輩のこと、先生まだ思い出せてないの?」
「うん…」
悠「もう数日経ってんのに…白夜先輩が幼児化の呪いを受けた時はすぐ解けてたのにな」
「そうなんだよね…何でなんだろ」
悠「うーん、あれじゃない?呪いを解く条件があるとか!」
「え、どゆこと?」
悠「例えばだけど、白雪姫だったら王子様のキスで目が覚めるでしょ?そういう何かが必要なんじゃねぇかなって」
「……なるほど。」
悠「先生の呪いって、一番大切な人の記憶を失うってやつならそれこそ、失った相手からのキスで思い出したりするかも!」
「…悠仁、それめちゃくちゃハードル高いけど大丈夫かな。そもそも、オレからキスとかあんまりしたことないのにオレのことを好きでもない悟にキスとか無理!!!」
悠「うーん。まぁキスって決まったわけじゃないからなぁ。先輩が幼児化から戻る直前、先生が先輩に何かしたとか聞いてない?」
えっと…確かあの時…
「聞いてはないんだけど、オレが寝かけてた時に、頬にチュッてされたような感触をなんとなく覚えてるんだよね…ほんとなんとなくだから、確実ではない!」
悠「その後すぐ先輩は元の姿に戻ったんよね?」
「うん」
悠「…先輩、やっぱキスじゃね!?」
「そう言うと思ったけどさー!!」
悠「でもさ!頬だったなら、口にする必要はないってことでしょ?頬ならワンチャンいけんじゃね?」
「む…頬にキスか…まぁ、口よりはハードル低い気がするけど」
悠「先輩、それで先生の呪いが解けるならやるっきゃないよ!まぁ、確実とは言えないけど」
「うん、そうだね。何もやらないよりはいいと思う!悠仁、ありがとう」
悠「どういたしまして!先輩、頑張ってね!」
「うん!」
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というわけで。
家に戻ってきました
どうやって悟の頬にキスするかだけど…
「うーん、やっぱり寝てる時が一番いいんだけど。悟が寝てるところって割りとレアだったりするんだよね。寝てると思ってたら起きてたってこと多いし…。寝てるフリが上手すぎるんだよ…」
はぁ…とため息をついて、リビングへ入ると…
五「………」
え?
もしかして悟、ソファーで寝てる?
そっと覗き込む
「…寝てる」
今がチャンス!?
オレは深呼吸をした
そして。
「……っ」
チュッ
「…っ、よ、よし!!した!したぞ!!……っ!!!」
オレは急に恥ずかしくなって、思わず家を飛び出していた
そしてドア付近にしゃがみこむ
「ヤバイヤバイヤバイ…心臓飛び出るかと思った…!悟、起きてないよね!?ふぅ…」
記憶をなくす前の悟にキスするのと、なくした後にするのじゃ全く緊張が違う
悟はオレのことを好きじゃない
だから余計怖い
それこそ寝てる時くらいしかほんと無理!!
「……悟がオレのこと、思い出してくれますように」
五「白夜。そんなとこで、何してるのかな?」
え?
「……さ、さとる…」
気付いたら隣にはオレと同じようにしゃがみこむ悟がいました
しかもなぜかめっちゃニコニコしてる
っていうか今、オレの名前……
「あー…、えっと、風に当たろうかなーなんて…」
五「ふーん。あんなことしといて?」
「…えーと、何のことでしょう」
五「ふふ、ま、可愛いから許してあげる」
その言葉に、オレの思考が止まった
え、可愛いって言った…?
オレのこと、可愛いって言ったよね?
「……悟」
五「ん?」
やっぱりニコニコしてる
「さっき、起きてたんだ」
五「ごめんごめん。白夜が急に帰ってきたもんだからとりあえず寝たフリしとこうと思っただけなんだけど。でもまさか頬っぺにキスしてくれるなんてなんのサプライズ?」
「……っ、悟、やっぱりオレのこと思い出したんだよね…?」
五「…うん、思い出したよ。ごめんね、辛い思いさせて」
「…っ、悟っ…!」
オレは、嬉しくて思わず悟に抱きついた
五「よしよし」
頭を撫でてくれる悟
「いつ思い出したの!?やっぱりオレが頬っぺたにキスした瞬間!?そうだよね!?」
五「え?あー…、うん!そうね!」
「やっぱりそうだったか…悠仁に相談して正解だった…!」
ありがとう!悠仁!!
と心の中でお礼を言った
「ねぇ悟、記憶がなかった時どうしてオレの名前呼ばなかったの?」
五「…記憶を思い出した時に白夜に気付いてもらうためだよ。思い出したらすぐ名前呼ぶだろうなって思ったから」
「なるほど…」
記憶がないのに、オレのこと考えてくれてたんだ…
「……部屋、戻ろ。もっと、イチャイチャ…したいです…」
五「…!うん、いいよ」
五(白夜ごめんね。ほんとは白夜が家に帰ってくる前に呪いが解けて白夜のこと思い出してたんだよね…。本人には言えないけど)
(ぎゅー……)←悟にぎゅっとしてもらい中