第0話
五「白夜ー!お待たー!」
「?」
五「分かったよ、白夜のこと」
「もう分かったの!?」
めちゃくちゃ早いな
五「さ、座って」
二人で使っているソファーに座る
五「それじゃ白夜のことだけど。単刀直入に言うね」
「う、うん」
五「白夜の本当の名前は、『五条白夜』」
……え?
「…いや、それは今オレが名乗ってる名前」
五「だから、同じだったんだよ」
「…同じって」
五「白夜は、五条家の人間だってこと」
オレが、五条家の人間…?
そんな。
もしそうなら、オレは悟の弟だったりするの…?
「…オレ、悟の弟なの?歳、10離れてるけど、考えられなくないよね…?」
五「弟かぁ。近いけど違うよー。白夜は僕の従弟」
「…従弟」
五「そ。君の親に直接確認したから、間違いない」
「……どうして、オレの親はオレを施設に入れたの」
ずっと、知りたかった
オレは施設に入ってとても辛い思いをした
どうしてこんな思いをしなくてはいけないのか
五「白夜のオッドアイ。とくに左目のことだけど」
「左目…」
五「その目は六眼って言ってね。術式情報の視認や、緻密な呪力操作を可能にする特別な目なの。ほら、僕と同じ!」
そう言って目隠しを外し、見せてくれる悟
「さ、悟…距離が近い…っ」
五「わざとだよ♪」
「…ほんとそういうとこだよ、悟」
全く心臓に悪い…
五「白夜の六眼は片方しかないし、不完全なものだから僕ほど使えるわけじゃないけどね。それでも無限は使えちゃうわけ」
「無限…?」
五「まぁ簡単に言うと、空間の距離を操ることができる。あの時お茶を弾いたのも無限のせい」
「……」
五「白夜の親は、六眼を持って生まれたことを知り、白夜が五条家に利用されるのを恐れた。君の親は白夜を守るために苦渋の決断をしたんだ」
「…なに、それ」
オレを守るためって…
「…じゃあ、オレは五条家にまた戻ってきたってことなんだ。オレは、五条家に利用されるの…?」
五「いや、それは大丈夫。白夜は僕の養子だからね。君に手を出そうとするやつは、たとえ五条家の人間でも許さない」
「悟…」
五「以上ー!白夜についてでした!」
「…ありがと、調べてくれて」
まさか悟と従弟だったなんて驚いたけど
でも、悟といられなくなるわけじゃない
五「白夜、色々辛かったね」
そう言って、悟は優しく抱き締めてくれた
「……っ、う、うう……っ!辛かった…っ、施設にいた時も…自分が誰なのか分かんないし…!でも…、悟がオレを見つけてくれたから…、今は、すごく幸せだよ…っ」
悟の優しさに、つい溢れた涙
それも、悟が拭き取ってくれる
五「…そっか、なら良かった」
あぁ…ずっとこのまま、悟とこうしていたい
きっとオレは、悟のために生きてるんだ
悟がいない世界なんて、考えられない
「…悟、好き」
五「僕も、白夜のことが好きだよ」
五(あのー、そろそろトイレ行きたいんだけど…)
(……なんか、当たってるけど、)
五(そうそう、その当たってるやつをさ?おさめに行かせてほしいなーなんて)
(…悟、オレで反応するんだ)
五(そりゃするでしょ)
(……分かった。行ってきていいよ)
五(ありがと)
(……良かった。硝子さんの言う通りだった)