このサイトは1ヶ月 (30日) 以上ログインされていません。 サイト管理者の方はこちらからログインすると、この広告を消すことができます。

第16話


五「…いつも、こうして一緒に寝てんの?」

「…うん。悟がいる時はいつも一緒に寝てる」

五「なぁ、試しにさ、写真みたいに後ろからハグしてみてもいいか…?」

「ど、どうぞ…!」


ゆっくりと、悟が抱き枕を抱くように、オレを後ろから抱き締める



五「………(あったかい…すげぇ、安心する…)」


「………(ドキドキしてる…)」


五「…おまえ、抱き心地良すぎ」


「ふぇっ!?」


五「ふふ、なんだよその抜けた返事」


「だ、だって…」


ドキドキするでしょ普通!!
こんな整った顔のイケメンが近くにいたら!


五「いつも一緒に寝てんなら、慣れてるだろ?」

「いや、実は意外と全然慣れないという…」

五「…え、まじ?」

「…まじ」



ほんとに慣れない




五「…ふふ、おまえ、意外と可愛いとこあんのな」

「えぇ?可愛いかな…」



そのあと、急に黙る悟



五「…なぁ」

「?」


五「…俺のこと、好きか?」




え?


突然のことに、思考が止まった

俺のこと、好きかって…?





「……好きだよ。じゃなきゃ、一緒に寝たりしないよ」


五「…俺はお前の知ってる五条悟じゃない。それでも好きって言えるのか?」


「うん。確かに高専時代の悟は知らない。けど、それでも悟は悟だから。オレの知ってる悟に変わりないよ」


五「…ふーん」




そう相槌をうってから、悟はそれ以降喋らず、気付いたら寝息が聞こえていた



悟…寝てる
可愛いなぁ…

少しだけ、幼い顔
それだけでも、見られて幸せだった





明日は悟たちと何しよう?
任務がなければ、一緒に出掛けたり、ゲームしたり、たわいない話で盛り上がったり



悟と硝子さんと、そして、傑さん
オレの大好きな三人がこうしていつまでも笑っていられたらいいのに

そんな未来が、来ることはないと知っているオレは、辛くて悲しくて…



「…悟、傑さんのこと、見ててあげてね…」





そしてオレは、ゆっくり目を閉じた







--------------------------------




五「白夜…!白夜!!」

「…ん、さ、とる…?」



オレを呼ぶ悟の声に、オレは目を覚ました


五「良かったぁ…。急に白夜の呪力が消えたから焦ったよ…」

「え…?」



あれ?
目の前にいるのは、オレの知ってる悟だ
さっきまで見ていた幼い顔の悟じゃない…



「…もしかして、戻った?」

五「うん。どこに飛ばされてたかは知らないけど」

「悟…!」


オレは悟に抱きついた



五「おっ、白夜、どうしたの?寂しかった?」

「…いや、寂しくはなかった」

五「あれ」

「…心配かけてごめんね、悟。オレさ、過去に行ってたんだ」

五「過去…?」




そしてオレは、悟に話した





「…高専時代の悟たちに会った。覚えてない?」


五「…うん、覚えてないね。恐らく白夜が過去に行ったのは呪霊の術式。けど、過去から今に至るまでの記憶を残すにはかなりの呪力がいる。それこそ宿儺くらいの特級クラスじゃなきゃまず無理」


「…つまり、オレを過去に移動させた呪霊は特級じゃなかったから過去の悟たちがオレと会った記憶はないってこと?」


五「うん、まぁそんな感じ」


「…そっか」


五「え、高専時代の僕に会ったんだよね?何か変なことしてない!?白夜にひどいこと言ったりとか…!!」


「あはは、悟、実は自覚してたの?口が悪かったって」


五「まぁ…今よりはヤンチャしてたかも…」


「大丈夫だよ。悟は今も昔も優しい悟だから。寝る時も後ろからぎゅって…」


五「は?今なんて言った?寝る時後ろからぎゅっ…!?寝たの!?僕の知らないところで男に抱きしめられながら寝たの!!?」


「いや、悟本人だからセーフだよね!?」


五「……」


「いや自分に嫉妬してどうすんの…!」


五「だって僕の知らない記憶だし…!そんなの他の男と一緒だし!!」


「そんなこと言われても、オレは今の悟も昔の悟も、悟に変わりないから好きとしか言えないよ…!」


五「……。それは、普通に嬉しい…」


「…うん。あのね、悟」


五「うん?」


「…傑さんや硝子さんにも会ったよ」


五「…そっか」


「傑さんね、オレが施設で酷い扱いされてたの知ってたから、施設から出たあとは幸せだってオレが答えたら、『なら良かった』って自分のことのように嬉しそうに笑ってくれたんだ」


五「傑らしいな」


「うん。オレの大好きな傑さんだった。こんなふうにずっと、悟と傑さんと硝子さんが笑っててほしかった…。どうすれば傑さんは、変わらずにいられたのかなって…」


五「…それは、僕にも分からない。けど、どう転んでも傑にとってこの世界は、住みにくい世界なのかもしれない」











----------------------------
過去の悟はというと…



五「…あれ、俺いつの間にか寝てた…。そういや昨日何してたっけ……何も思い出せねぇ…大切なことのような気がする…」


その後、傑や硝子にも聞いたが、二人も昨日のことがよく思い出せないと言っていた

何かの呪いかとも思ったが、特に呪力も感じないため、それは謎のままとなった



















五(ところでほんとにただ寝ただけ?手出してないよね!?)
(……まだ言ってる)
五(だってぇー!!気になるでしょ普通!!)
(大丈夫だよ。何もされてないから)
五(なら良かった…)
3/3ページ
スキ