第16話
家「おかえりー」
教室に入ると、そこにいたのは若かりし硝子さん!
「…硝子さんだ!!」
家「…え?」
しまった…
硝子さんに会えて嬉しくて思わず…
五「なんだ、硝子のことも知ってんのか」
夏「まぁ知っててもおかしくはないだろうけどね」
家「?」
硝子さんにも事情を説明
家「なるほど。白夜っていうのか。それにしてもほんと五条にそっくりだな。いや、五条より可愛げがある」
五「おい」
「あ、あの…よろしくお願いしますっ!」
家「あぁ、よろしく。それで、未来の私ってどんな感じ?」
「えっと、いつも優しくて相談にも乗ってくれて、頼りになるすごい人です!」
五「べた褒めじゃねぇか」
家「おお、分かってるじゃん」
よしよし、と硝子さんに頭を撫でられた
五「そういや白夜、お前何年?」
「あ…えっと、ホントは4年生なんだけど、3年生」
五「は?留年?」
「実は半年くらい意識不明になってたらしくて。それで悟が、そのまま4年生になるか、もっかい3年やるか選ばせてくれて」
夏「なんで悟が選ぶ許可出してるんだ?」
「え、それは先生だから…あれ、これ言っていいやつ?」
五「俺、教師してんの?」
夏「悟がまさか教師とは驚いたな」
家「五条に務まるとは思えないけどな」
五「実際教師になってんだから務まってるわ」
「あはは…」
なんかいいな
この三人の空気
ずっと、このままだったら良かったのになぁ…っ
五「…おい、大丈夫か?急にどうした」
「え?」
五「…泣いてるから」
泣いてる…?
「…あれ、ほんとだ。何でだろ…分かんない」
夏「白夜…」
五「……たく、しょうがねぇな」
そう言って、悟は突然オレの頭をそっと自分の胸へ引き寄せた
「…っ!!」
五「別に、深い意味はねぇから。人の体温って落ち着くだろ。だからこうしといてやる」
「…うん、ありがとう…」
この時代の悟のことは、よく知らないけれど
やはりこの感じは、オレの知ってる優しい悟だ
夏「……悟がそんなことをする人間だったことに驚いてるよ」
家「マジでそれな」
五「お前ら俺を何だと思ってんだよ」
ふふ…仲良いなぁ…
しばらくして、悟から離れたオレの胸元をじっと見つめる悟
正確には、オレの胸元にあるネックレスを見ている
五「…白夜、おまえさ」
「…?」
五「……そのネックレス、どうした?」
「え?どうしたって…これは悟とデートした時に…あっ、いや、買い物した時に…!!」
やばいっ!!
普通にデートって無意識に言ってた…!!
オレのバカぁ!!
夏(…今絶対デートって言ったな)
家(しっかり聞こえた)
五「…未来の俺とお前って、一体どういう関係?」
「……それは」
五「白夜が着けてるそのネックレス。俺の呪力が込められてる」
夏「悟の呪力?どういうことだ?」
五「…自分の呪力は分かる。無下限が張られてて、触れるのは俺と白夜だけ」
「…さすがに、分かるよね」
夏「白夜はそのこと知ってたのかい?」
「はい。プレゼントしてくれた悟が自分で言ってたから。オレが誘拐されても、自分の呪力を辿ればすぐわかるって」
夏「それ、白夜の位置が常に分かるってことだよね」
「そうですね」
家「やばいだろ」
夏「やけに過保護だね」
「あの…!それは、オレが原因なので!悟を責めないでほしいというか…!悟はただ、オレのことを守ろうとしてくれてるだけなんです…!」
五「………」
じっと見つめてくる悟
夏「まぁ、白夜と悟の関係については、聞かないでおこう。色々事情があるんだろう」
家「…そうだな」
ふぅ…
良かった…
夏「そうそう白夜。そろそろ寮に戻る時間なんだけど、どうする?」
「え?あ…」
夏「一人にするのはよくないから、私か悟の部屋に一緒に寝泊まりすることになるけど」
「むしろいいんでしょうか…」
夏「私は構わないよ」
傑さん、優しい……
夏「どうする?悟」
五「……傑には悪いけど、白夜は俺の部屋に来い」
「え…?」
ということで。
なんと、高専時代の悟の部屋に行くことになりました
「…お邪魔します」
お。
やっぱり片付いてるな
悟は変わらないってことか
五「適当に座っていいから」
「う、うん」
やっぱり緊張する
悟には変わりないんだけどね…
オレはとりあえずベッドに座った
五「…悪い。傑の部屋のほうが良かっただろ」
「え…?」
五「いや…なんか緊張してるみてぇだから」
「それは…!えと…オレの知ってる悟と雰囲気が違うというか…丸くなった悟しか知らないから…まだ慣れないだけで!悟が嫌なわけじゃないよ」
五「…俺、未来じゃそんな丸くなってんの?」
「…うん。今の君を見てたら違いがよく分かるよ…」
五「…ふーん。俺、まだ心がガキなんだな」
「自分で言うんだ」
五「だってそういうことだろ」
「でもね。優しいところとか性格とかは変わらないよ。悟が怒るとめっちゃ怖いし。未来でも一番イカれてるのは悟だと思ってるし」
五「なんだそれ。褒め言葉?」
「あれ、そのつもりだったんだけど」
良かった
悟、表情が明るくなった
笑ってる
五「なぁ。話せる範囲でいいからさ、俺と白夜のこと、教えてくれねぇ?それか写真あれば」
「写真かぁ。えっと…待ち受けにしてるやつでよければ」
オレは、スマホの待ち受けを見せた
ちなみにどういう写真かというと、オレの後ろから悟がハグしてるやつ
オレも悟も笑顔で、なんかいいなと思って待ち受けにした
五「……これが、未来の俺。確かに全然違うな…俺も白夜もすげぇ幸せそうに笑ってる」
「…うん」
五「…ん?俺がしてる指輪って、白夜と同じ…」
「あ…!」
やば…!!
忘れてた!!
五「……まぁ、なんとなく想像できたわ。」
「…はいぃ」
五「…俺、多分お前のこと好きだわ」
「………は?え!?」
急にそんなこと言うと思ってなかったから、頭が追い付いてないよ!?
五「いや、確信はねぇよ。けど、未来でお前とそういう関係になっててもおかしくはないなって思ったっつーか。嫌な気はしないんだよ」
「悟…」
五「そもそも自分の部屋に入れていいって思ってる時点でそういうことなんだよ」
「…うん、ありがとう」
五(…そろそろ寝る時間か。どうする…?一緒に、寝るか…?)
(悟が、よければ…)
五(俺は別に構わないけど…)
(じゃ、じゃあお言葉に甘えて…!)
五(お、おう…)