第16話
「………えっと、あれ?なんでオレ高専にいるの…?」
確か悟と一緒に高専からは遠く離れた場所での任務をしていたはずなのに
「…どうなってるの?」
何があったか説明すると
先ほども言ったとおり、オレと悟で任務に来ていた
呪霊を探している最中急に目の前が霧に包まれて、オレはなぜか気を失った
そして、目を覚ますと目の前には高専
すぐ近くにいたはずの悟もいない
「…何がどうなってこうなった?もしかして呪霊の仕業とか?移動系の術式かな…」
そう思ってスマホを取り出すが……
「え?圏外…?なんで…?」
高専が山奥っぽいとはいえ、電波は来ているはずなのに…
「……とりあえず、高専に戻って事情を説明して、悟に連絡取ってもらうしかないな」
そして、オレが高専へ歩きだした時だった
?「…おいお前、そこで何してる」
突然、声がした
しかもその声は、オレがよく知っている声
「…っ!!」
振り向くと、そこにいたのは……
「……?えと、悟…だよね?」
五「あ?何で俺の名前知ってんだよ」
悟で間違いないみたいだけど…オレの知ってる悟より、なんというか子供っぽい?
見た目10代なんだけどどういうこと…?
しかも高専の制服来てるし…口調も違うし、一人称も俺だし
この状況で考えられるのは………
「………もしかしてオレ、過去に来てる……!?」
五「さっきから何一人でテンパってんだよ。つか、初対面だよな?何で名前知ってた?」
「えっと……信じてくれるか分からないけど、どうやら過去に来てしまったみたいで……」
五「………。お前、未来から来たってことか?だから俺のことも知ってると」
「…うん……」
五「…本当かどうか質問するから答えろ」
「わ、わかった」
五「俺の好きなものは?」
「甘いもの!」
五「誕生日は?」
「12月7日!」
五「苦手なものは?」
「お酒!」
五「特技や趣味は?」
「やれば何でもできるから、ないって言ってた」
五「………。」
表情からして、どうやら信じてくれたらしい
五「…おまえ、名前は?」
「五条白夜…」
五「…五条?五条家の人間か?白夜なんて名前、聞いたことねぇけど」
「……ご想像にお任せします」
五「…あっそ。」
「………」
…高専時代の悟って、こんな感じなんだね
ってことは、悟…だいぶ丸くなったんだ
五「…なぁ、その目」
「え?顔ちかっ…!」
気付いたら目の前に悟がいて、オレの目をじーっと見てる
五「お前の左目…」
「こ、これはその…生まれつきというか…」
眼帯しててもおそらく悟は気付いてるんだろう
オレの不完全な六眼に
五「…ふーん、生まれつきねぇ…」
めっちゃ見られてる…!!
五「…おまえ、ほんとよく似てるな、俺に」
「…よく言われる」
夏「あ、いたいた。悟、探したんだけど何して…」
新たにやってきたのは、傑さんだ
「あ…っ、傑さん…!」
思わず声に出してしまった
夏「…え、君……もしかして……白夜のお兄さん!?」
「………」
まぁそうなるよね
五「兄じゃなくて、白夜本人だよ。つか傑、白夜のこと知ってんの?」
夏「え、本人?そんなわけないだろ。だって白夜は小学生だよ?」
五「こいつ、未来から来たらしい」
夏「え、未来?」
傑さんが混乱し始めたので、オレは改めて何が起きたかを話した
夏「…なるほど。悟が信じてるなら私も信じるよ」
「…ありがとう!傑さん!」
夏「…うん、確かに白夜で間違いないね」
五「てか、知り合いだったのか」
夏「あぁ。任務先の学校で知り合って色々協力してくれてね」
五「ふーん」
なんか、この二人のやりとり新鮮だ…
夏「ねぇ白夜、ちょっといいかな?」
傑さんが、悟には聞こえない声でオレに話しかけた
夏「白夜のその制服を見る限り、施設から出られたんだね」
「あ、はい…!助けてくれた人がいて…」
そう言いながら、無意識に悟を見た
夏「…そうか。私ではどうにもできなかったから、良かった。ちなみにだけど、その助けてくれた人ってもしかして悟かな?」
「…!!なんで…」
夏「私が知る限りだけど、君を助けられる人物は悟だけなんだ。そして君が高専に通っているなら、少なからず悟が関係しているはずだしね」
「…さすが傑さん、何でもお見通しだ」
夏「施設を出たあとはどうしてたの?」
「…ずっと、悟と一緒に暮らしてます」
夏「…そうか。今、幸せかい?」
「…はい!とても!」
夏「そうか、なら良かった」
そう言って笑ってくれた傑さん
オレの好きな傑さんだ
五「おい傑、いつまで内緒話してんだよ。そろそろ白夜を未来に返す方法考えるぞ。ずっとここにいるわけにもいかねぇだろうし」
夏「そうだね。未来の悟も、きっと心配しているだろうし」
「あ……」
…怒られないかなオレ
注意不足だって言われそう…
夏「とりあえず、君がここに来る直前のことを教えてもらえるかな」
「分かりました」
そしてオレは、何があったかを説明した
夏「…なるほど。任務中だったってことは、近くに呪霊がいたということだ。つまり、その呪霊の仕業って可能性が高いね」
五「…それって」
夏「うん。未来の悟がその呪霊を祓ってくれれば、白夜は戻れるんじゃないかと思う」
「なるほど…」
五「未来の俺待ちかよ」
夏「そうだね。だから私たちにできることは、白夜が戻るまで一緒にいてあげることくらいだよ」
五「…たく、仕方ねぇな。白夜、とりあえず高専戻るぞ」
「う、うん…!」
(高専時代の悟とどう話していいか分からないなぁ…)