第15話
「…ん」
目を開けると、オレは部屋のベッドに寝ていて
しかも悟が目の前にいて抱き締められている体勢
「…悟のまつげ、なが…」
あまり悟の寝ている顔をまじかで見たことがなかったオレはマジマジと見ていた
五「……白夜、そんな見つめられると起きにくいんだけど」
「えっ!?起きてたの!?」
五「うん。まつげ、なが…って言ってるあたりから」
「…それ最初からじゃん」
五「…体調、どう?」
「あ…そっか、オレ昨日…」
気分が急に悪くなって、それからどうしたっけ…
五「あのあと、高熱でうなされてたんだけど、硝子に診てもらった」
「そうだったんだ…硝子さんにお礼言わなきゃ」
五「その様子だと、だいぶマシになったみたいだね」
「うん、もう大丈夫そう。ごめんね、心配かけて」
すると悟はオレの頭を撫でてくれて
五「いいよ。白夜こそ辛かったでしょ。よく頑張ったね」
その言葉に、オレはなぜか涙が溢れていた
五「白夜…」
「……なんでだろ。急に涙が出てきちゃった…っ。…!!」
突然、悟にキスされた
「…んぁ…っ」
五「…もう少し寝てていいよ。昨日は疲れたでしょ?」
「…うん」
優しい笑顔でそう言ってくれる悟に、オレも微笑んだ
「おはよう、夜蛾学長」
夜「おはよう白夜。昨日は大変だったな。体調はどうだ?」
「悟がそばにいてくれたから大丈夫だよ」
夜「そうか」
五「学長。白夜のことなんだけど…しばらく呪術師の仕事を休ませようと思ってて」
「えっ!?悟!?」
それ、初耳なんだけど!!
五「白夜に言ったら絶対反対するでしょ」
「当たり前じゃん…!」
五「ほんとはさ、休ませるんじゃなく、辞めさせたいくらいなんだけど」
「えぇ!?」
五「さすがにそれは白夜の意思を尊重した。とりあえず今は休みなさい」
「…うっ」
…今のは子供を言い聞かせる親の言い方だ
夜「分かった。報告はこちらでしておく。悟、白夜のこと頼んだぞ」
五「当然」
夜蛾学長の部屋をあとにし、廊下を歩く
五「白夜ー、仕事が白夜に来ることはないけど、1人にしておくつもりもないから」
「え、それって…」
五「そ。僕の手伝いとして一緒についてきて。それなら僕が白夜を守れるからね。いやぁ、僕って天才!」
「悟…ありがとう。オレ、仕事の手伝い頑張る!」
五「これは修業の一環でもあるからね。もちろん任せるつもりだよ。気張ってねー」
「分かった!」
そしてオレは、悟の手伝いをすることになった
「術式順転、蒼…」
五「え、いきなりできちゃうの?白夜天才じゃん」
任務という名の修行中
いきなり発動できてしまったのだ
「いやぁ、まぁ色々頑張ったし」
五「そうだね。よしよし」
「へへ…」
悟に頭を撫でてもらうの好きなんだよね
五「あとは虚式 『茈』だけど。もう白夜ならできそうだね。ただ虚式は知っての通り威力が桁違いに大きい。被害が出ないような広い場所じゃないと使っちゃだめ。オーケー?」
「オーケー!」
五「よし!この任務は終わり。次の任務まで少し時間あるし休憩がてら何か食べようか」
「うん!」
ベンチで待っていると、悟がソフトクリームを持って帰って来た
五「はい、お待たせ」
「ありがとう、悟」
五「体調はどう?気持ち悪いとかない?」
「うん、大丈夫。心配してくれてありがとね」
五「あんな辛そうな白夜見せられたら、そりゃ心配するでしょ。今は僕がついてるから、安心して」
「うん!」
そばに悟がいてくれる
それだけでほんとに安心する
しかもこんなに長く一緒にいられるのも久しぶりだし
「…悟、オレのこと、面倒くさくないの?」
五「は?なんで?」
「いや…悟の性格考えたら、普通こんな面倒なやつ、構いたくないだろうなって…」
五「確かに普通に考えたら、面倒くさいかもね」
「…だよね」
五「でも、それが白夜なら話は別。僕は白夜にベタ惚れだからね~。面倒だとも思わないし、迷惑でもない。むしろ頼ってくれて嬉しいよ」
「……っ」
悟…
五「あ、白夜。アイス早く食べないと溶けちゃう」
「あ、ほんとだ…!」
(んー!美味しい…!)
五(ふふ、口についてるよ。ぺろっ)
(…っ!!!?)
五(そんな顔真っ赤にしなくても)
(いつも言ってるでしょ…!急に悟の顔がくるとびっくりしちゃうの!)
五(まだ慣れないの?)
(慣れません…!!)