第11話
家「これは……」
家入のところに到着し、さっそく見てもらったのだが
五「え、なに…。なんかやばい病気とか!?」
家「いや、これは恐らく」
悠「恐らく…?」
家「疲れやストレスによる風邪だな」
五「……え?」
悠「疲れやストレス……」
硝子と悠仁は五条に視線を送る
五「いや、え、僕!?」
家「他に誰がいるんだよ」
悠「せんせー…」
五「僕何か悪いことしたかな…!?」
家「自分の胸に手を当ててよーく考えてみろ」
真面目に手を胸に当てている五条
五「…うーん、考えられるとしたら、最近二人の時間が取れてないことかな」
悠「あー…先輩も同じこと言ってた」
五「そうなんだよね。特に最近は任務が入れ違いになったり…。でも、寝ないで僕の帰りを待ってることが多くてさ。寝てていいよって言っても、僕の顔を見てから寝たいって…」
悠「先輩なんて健気…!」
家「…寝不足で任務の疲れが取れてないわけか。五条に会えないってこともストレスになってるのかもしれないな」
五「え、つまり僕不足ってこと!?」
悠「せんせーふざけてる場合じゃ…」
家「いや、あながち間違ってないかもしれないわ」
悠「え、まじ…?」
五「とりあえず白夜は安静にしてれば大丈夫なんだよね?」
家「あぁ。五条が看病してやれば、白夜も喜ぶと思うけど、任務もあるしな…」
五「分かった、僕が看病するよ」
何やらスマホをポチポチしながら言う
家「…任務はどうする?」
五「白夜がピンチだから代わりによろっ!って伝えたら、分かりました。って七海から」
家「七海が…?白夜に甘いのは学長や五条だけじゃなかったなそういや」
五「いやいや、そういう硝子が一番白夜に甘いでしょ」
家「…母性本能みたいな?」
五「そういうわけで、白夜は家に連れて帰るけどいいよね?」
家「問題ない。普通の風邪と同じように看病してあげれば大丈夫」
五「りょーかい」
五条は白夜をそっと抱える
五「そんじゃ硝子、ありがとなー」
悠「お邪魔しましたー!」
家「おー」
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五「悠仁」
帰り道、五条は悠仁に話しかけた
悠「ん?」
五「僕が来るまで白夜のこと見ててくれてありがとう」
悠「いや、まぁ一緒にいたし」
五「それと。白夜のスマホから僕に連絡してくれたこと、いい判断だった。ちょうど忙しいタイミングでさ。白夜からの連絡じゃなければ出なかったよ」
悠「やっぱそうだよなぁ。五条せんせー、白夜先輩からの連絡だけは絶対取りそうだったから、それに懸けてみたんだけど。我ながらいい判断したな」
五「ほんと助かった」
悠「白夜先輩さ。マジで五条せんせーのこと好きなんだよな。だからあんな凝った弁当毎日作れるんだよ。栄養バランスも取れてたし。だからさ、白夜先輩のこと大事にしてよね、五条せんせー」
五「…当然でしょ」
悠「んじゃ、白夜先輩は任せた!せんせー、また明日ー!」
五「うん、またねー」
悠仁は自分の部屋へと戻っていった
五「…白夜、家へ帰ろう」
五条の腕に抱えられながら眠る白夜がいた
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「…ん」
ふと目を覚ますと、傍らに悟がいた
「…寝てる」
寝るなら普通にベッドで寝ればいいのに…
と思ったのだが、ふと気づいた
頭には冷えピタが貼ってあり、ベッドのそばの机には水と薬が置いてある
「…悟、もしかしてずっと看病してくれてた…?」
忙しい任務できっと疲れているはずなのに
看病している間に寝てしまうほど、悟だって寝れていないはずなのに
そう思ったら、心から嬉しくなった
悟がオレを見てくれてる
ただそれだけで、幸せだ
最近すれ違いが多かったせいか、少し不安だった
悟はもうオレに飽きてしまったのではないか
オレのことなんて、どうでもよくなってしまったんじゃないか
そうやって、ありもしないことを考えて、勝手に落ち込んで
「あーあ…、ほんとバカだ……オレのバカ……」
五「…白夜、泣かないで」
「…っ!悟…起きてたの…?」
五「さっき。ごめん白夜。君を不安にさせた僕のせいだ」
「悟のせいじゃない…!オレが我慢できてなかったせいだ。すれ違いが多かったってだけで体調崩すオレが弱いせいなんだよ…」
五「そんなに自分を責めないで。これじゃお互い平行線だし。とりあえずさ。白夜は風邪を治す。そしたらまた時間作って二人でイチャイチャしよ?」
「…うん。じゃあ今は悟も寝て?寝不足なのは悟もだから」
五「そうするよ」
悟はいつも通り、オレの隣に寝転がる
「…今さらだけど、任務、大丈夫だった?」
五「うん。七海が行ってくれてるから問題ない」
「あー…今度七海さんにお礼言わなきゃ」
五「別にいいよ。七海だし」
「いや、ダメでしょ」
五「もうー。あいつの話はもう終わり。今一緒にいるの僕なんだから。他の男の話はしない」
「はーい」
五「…熱、下がった?」
「うーん…どうかな」
すると悟の顔が近づいて
「え、悟っ…?」
コツンと、おでことおでこが触れる
五「んー。まだ熱いな」
「…なんか、一気に熱くなった気がする」
五「え、なんで!?」
当たり前でしょ
こんな整った綺麗な顔が近付いてきたら、誰だってドキドキするでしょーよ
いまだにこの顔面国宝は慣れない…
(…悟、キスしないでね)
五(なんで!?)
(…する気だったのか)
五(だってこんなに近くにいるのに…!キスし放題なのに!)
(…風邪移っちゃうでしょ。治るまでは、我慢して)
五(白夜の風邪なら、移ってもいいよ?)
(オレが嫌なの)