第6話
桃ちゃんに二人を預けたあと、オレはすぐに恵たちのところへ戻ろうと走っていた
その時
歌姫「あら、白夜じゃないの!」
「歌姫先生…!」
歌姫「やっかいなことになったわね。みんな無事かしら」
「無事…ではないです。さっき桃ちゃんに、加茂君と棘を硝子さんのところまで運んでもらうように頼んできました」
歌姫「そう…。二人がやられるなんて、相当な使い手ね」
「…すみません。オレがいながら」
歌姫「あなたの戦い方は、こういう人が多い場所では向かないもの。気を落とす必要はないわ」
歌姫先生…
歌姫「あ、ちょっと待って。電話が鳴った。西宮からだ」
歌姫先生は電話に出る
歌姫「了解。西宮もそのまま硝子のとこにいて。大丈夫。三輪は冥さんが見てる」
電話を切り、そのまま呪霊まで走り続ける
「電波も絶たれてないってことは、帳は完全に悟を入れないことだけに絞ってるんですね」
歌姫「ええ、そのようね」
それは突然だった
後ろに気配を感じた
「「…!!」」
オレと歌姫先生は攻撃をかわした
重「あれっ?」
…人間だよね
つまり、呪詛師か
重「絶対斬ったと思ったのに。これだから俺は…」
なにあの刀
持ち手が手になってる
重「いいでしょ、コレ。鞣造が作ってくれたんだ。さっき会わなかった?オマエは非力だから刀からも握ってもらえって。ねぇ、お姉さんたちは俺に何をくれるの?っていうか君、すっごく可愛い顔してるね」
「…オレは男だけど」
重「えー、残念。でもまぁ、可愛いからいっか。ねぇ、可愛い君。俺といいことしない?」
なんだコイツ…
野「オマエ、モテないだろ。出会い頭に自分の話ばっかり。挙げ句に白夜先輩をナンパって。金とんぞ!!」
真依「アンタのどこに金とれるだけの聞き手の器量があんのよ」
「野薔薇、真依!」
良かった
二人は無事だったんだね
いや、怪我してるから無事ではなさそうだけど、元気そう
重「わぁ~、女の子がいっぱい、モテモテだぁ~」
「だからオレは男だって言ってんだろ…」
野「人の話聞いてんのかよ」
こいつ絶対聞いてないと思う
真依「援護は任せて。誤射されないよう気をつけなさい」
野「オメェが気をつけろ!!」
…なんか、息ぴったりだね
言ったら怒りそうだから言わないけど
「…!!」
その時、空が明るくなった
歌姫「帳が上がった!?」
「…悟だね」
さすが悟だ
もう帳を上げるなんて
重「マジィ?30分も経ってなくない?逃げよっ」
「あっ!」
逃げやがった…!!
「歌姫先生、オレは悟のところに行ってきます」
歌姫「分かった」
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オレは悟の呪力を追って悟のいる場所へ
「悟!」
五「白夜、なんか久しぶりに会った気分だね」
「たしかにそうだね…って、そんなこと言ってる場合じゃなかった。どうするの?あの特級呪霊。帳が上がったしこのままじゃ逃げられる」
五「ここからじゃ距離がある。それにあれは逃げが上手い。仕方ないな」
「悟…?」
五「少し、乱暴しようか」
「…っ!」
本能が察知した
近くにいては巻き込まれる
オレはすぐに悟から距離をとった
五《術式順転 『蒼』、術式反転 『赫』》
すごい呪力量……
五《虚式 『茈』》
それは、大地ごとえぐり、真っ直ぐに呪霊へ放たれた
「………これ、呪霊祓えたかすら分かんないね」
改めて、悟は最強なんだと思い知った
五「一件落着!!」
五(ってわけにはいかないか)
「やっぱり悟はすごいね」
五「まぁね。でも、白夜も頑張ったよ。お疲れ様」
そう言って、悟は優しくオレの頭を撫でた
「…オレは何もできなかった。悟がいなかったら今頃…」
五「見てたよ。術式反転『赫』。できるようになってたなんて、僕びっくりしちゃった」
「でも、足止めくらいにしかならなかった」
五「あれくらいできれば上出来だよ。足止めも大事だからね」
悟は優しい
いつもそうやって、オレを褒めてくれる
五「さ、戻ろうか。あ、その前に」
「?」
五「頑張ったご褒美、ちょうだい」
「ご、ご褒美!?って、何したらいいの…?」
悟は指で自分の口元を差す
え、まさかあれしろってこと…!?
「………っ」
悟には助けられたし、ここはやるしか…!
白夜は五条悟の目の前まで行き、背伸びをして、そっと唇を合わせた
五「…!」
「こ、これでいいっ?ほら、戻るんでしょっ」
あぁー!!
恥ずかしい…!!
自分からキスとかしたことないし!
顔が熱い…!
五(ありがとう、白夜。僕は幸せ者だなぁ)
(………こちらこそ、ありがと)
五(どういたしまして)