第弐話
北東に向かいながら、炭治郎と夜に色々話したことを思い出していた
オレは寝転がりながら、炭治郎は眠り続ける禰豆子のために日記を書きながら
ちなみに夜はオレと炭治郎、並んで寝ている
炭『白夜さんは、どうして鬼殺隊に?』
『オレが小さい時、炭治郎と同じように家族が鬼に殺されてさ。それから色々とあって、先生、鱗滝さんに拾ってもらってね。先生が鬼殺隊士の育手っていうのもあって、オレのことを育てながら自然と訓練もして、気付いたら最終選別受けられるくらい強くなってたってわけ』
炭『…白夜さんも、家族を。寂しくなかったですか?』
『寂しかったよ。けど、先生がいてくれたから』
炭『鱗滝さんが、親代わりだったんですね』
『そうだね。オレは先生が育ての親だと思ってる』
炭『ちなみに、白夜さんって兄弟はいたんですか?』
『あぁ、妹が1人。オレに似て可愛かったんだよ?』
炭『白夜さんに似てるなら確かに可愛いんだろうなぁ』
二人で笑い合う
『炭治郎、禰豆子のこと必ず守るんだよ。オレも、禰豆子が人間に戻れるように協力するから。それに、人間に戻す方法が見つかれば、無闇に鬼を殺さずに済む』
炭『はい、ありがとうございます。そうですよね…』
『鬼だって、なりたくてなった鬼はあまりいないと思うんだ。できることなら人間に戻してやりたい』
炭『白夜さんは、優しい人ですね』
優しい、か…
『…オレが優しくするのは人間だけだよ。鬼に対しては非情にならなくちゃ斬れないからね』
炭『…それでも、白夜さんからは優しい匂いがします』
『…そうか』
「優しいのは、炭治郎のほうだよ」
カァカァ!
おっと、オレが考え事してたのがカラスにバレたか
「ごめんごめん。今は任務に集中するよ」
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「水の呼吸・肆ノ型 打ち潮」
鬼は頸を斬られて消滅していく
「ふぅ…これで終わりかな」
久しぶりの任務でなまってないか心配だったけど、炭治郎との訓練のおかげか、いつも通り身体は動いてくれた
『次ハ西ニ向カエ!』
「はいはい、西ね」
そして足を進めた瞬間
その足は地面に着くことなく、突然真下に穴が開いたかのごとく、闇に吸い込まれていく
「っ…!!」
これは…血鬼術!?
全く気付けなかった…!
気配すら微塵も感じなかった
なぜか意識を失っていたらしいオレは、ふと目を覚ます
そこは、色んな空間が入り乱れ、階段が真上にあったりと訳の分からない場所だった
そしてオレは、両手が壁に拘束され、身動きが取れない状態にあった
直感が言っている
これはかなりまずい状況であると
突然だった
目の前に現れた成人男性
見ただけで分かった
こいつは、あの、鬼舞辻無惨であると
「………っ」
普通の鬼とはまるで違う
漂わせるオーラや気配
無惨「突然で驚いたか?」
「っ!」
無惨「ほう。私を前にしても動揺しないとは」
「…あんたが、鬼舞辻無惨だな」
無惨「そうだと言ったら?」
「…会えて光栄だよ」
無惨「…お前の名を聞こう」
「…白夜」
すると無惨は白夜に近づく
無惨「なるほど、白夜か。お前は鬼狩りの柱の中で一番強い。そうだろう?」
「…だったら?」
無惨「ふむ、気に入った。お前のその美しい容姿も私の好みだ」
オレの顎をくいっと上げる
…無惨は一体何を言っているんだ
無惨「白夜。私のものになれ」
「は?なるわけないでしょ…オレは鬼殺隊だよ?」
無惨「そうか。まだ時間はある。いずれお前を鬼にしよう。だがまだその時ではない。この美しい容姿が壊れてしまうのは惜しい」
「オレは鬼にはならない…!」
無惨「その顔も悪くない。白夜、私はいつでもお前を捕らえることができる。忘れるなよ」
そう言うと無惨は突然目の前から姿を消し、オレは再び闇へと吸い込まれていた
カァ!カァ!
ん…カラスの鳴き声…?
『白夜!目ヲ覚マセ!カァ!』
「…ん。オレは…」
『白夜!何ガアッタ!言エ!』
…そうか、オレ、戻ってこれたんだ
カラスにしてみれば、突然闇の空間へ吸い込まれて、また闇の空間からここに戻ってきたという謎の出来事
上に報告しようにも、何が起きたのかすら分からないのだろう
「………」
無惨に捕まっていたなんて言ったら、お館様驚くだろうな…
だけど嘘はつきたくない
「…お館様、ごめんなさい…。鬼舞辻無惨に捕まってしまいました…」
カァ!
カラスはすぐさま飛んでいった
「…あいつ、オレを鬼にするって言ってた。だけど、まだその時じゃない…?どういうことだ…」
(鬼舞辻無惨…一体何を考えている)