第拾伍話
それから2ヶ月ほどが経った
残念ながら、義勇とはまだ会えていない
カラスで手紙のやりとりは何度かしたのだが、任務が立て続けにあり、戻れないらしい
柱は忙しい
それはオレが一番よく分かっているので、仕方ないと割りきれる
オレはオレで、炭治郎たちの看病をしていた
もちろん任務もこなしつつ
ただ、2ヶ月経っても炭治郎は眠ったまま
その間に、一緒に炭治郎の看病をしていたカナヲと打ち解けて普通に話すようになった
さすがは継子というか、カナヲはオレが鬼であることをすぐに見破ったのだ
すぐしのぶにオレのことを説明してもらって、今は仲良くしている
「カナヲー?炭治郎の包帯そろそろ替えようかと思ってるんだけど……」
そう言いながら、炭治郎の病室へ入ると
炭「…白夜、さん…?」
「……っ!!!炭治郎っ!!おまえ、目が覚めたのか!」
炭治郎の傍らに座り、嬉しそうにカナヲが笑っている
「…良かった、本当に良かった…っ」
炭「…白夜さんも、看病してくれてたってカナヲから聞きました。ありがとうございます…」
「いいんだよそんなこと。まだ身体辛いだろうから、ゆっくり寝てな」
炭「はい…」
それから。
目が覚めた炭治郎の回復力はすさまじく、ものの一週間で復活したのだった
だが、2ヶ月も時間があったというのに戦いで壊れてしまった炭治郎の刀は、未だに届いておらず
刀がなければ任務を行うこともできないので、炭治郎は刀鍛治の里へ向かった
「…オレはこれからどうするかなー」
炭治郎の看病という仕事があったので、特に時間をもて余すことはなかったのだが
人間に戻れるかもしれない薬のことを手紙でお館様に話してから、いつでも戻れるようにとの配慮で、任務が来なくなった
時間をもて余したオレは、なぜか義勇の屋敷で寝転がっていた
もちろん、屋敷の持ち主である義勇はいない
「…義勇、いま何してるかなぁ」
任務の邪魔にならないよう、もう手紙は送らないようにした
そしてオレは気付いたら寝ていて…
変な夢を見た
それは義勇がオレに口付けをして服を脱がせて…
「…え?」
義「………」
目の前に、オレに覆い被さっている義勇が見える
そしてオレの服がはだけている
「…えっと、これは夢?」
きっとそうだ
そんな都合よく、義勇が帰ってくるはずがない
義「…夢じゃない。現実だ」
「…現実?え、本物!?」
夢じゃないの!?
義「本物だ。触れてみれば分かる」
そっと、義勇の顔に触れる
「…あったかくて、柔らかい。本物だ…。義勇…!」
義「…ようやく白夜に会えた。白夜不足でどうにかなりそうだった。なのに最初は来ていた手紙が来なくなって、もしや白夜に嫌われてしまったのではないかと不安になった…」
「あ…それは、任務の邪魔になると思って途中から手紙止めたんだけど…」
義「白夜からの手紙が任務の邪魔になるはずがないだろう」
「そっか…ごめんね、不安にさせて。オレはずっと義勇のこと好きだよ。嫌いになるわけないでしょ?」
義「…そうか、安心した」
義勇はぎゅっとオレを抱き締める
義「人間に戻れる可能性のある薬、俺が戻るまで待っていてくれたんだな」
「うん。人間に戻る時は、やっぱり義勇にそばにいてほしいから」
義「嬉しい。俺もおまえのそばにいたい」
「ふふ、でも今日は遅いから、明日にしようかな」
義「分かった。なら今夜は…」
「…義勇は欲しがりだなぁ」
義「言っただろう。白夜不足でどうにかなりそうだったと」
「…まぁ、それはオレもだけど」
義(今夜は寝かせない)
(…ほどほどでお願いします……)