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第拾肆話

数日後

愈史郎とだいぶ打ち解けたある日


『白夜!伝令!伝令!』

「あ、カラス…どうしたの?」

『音柱・宇随天元及ビ竈門炭治郎・我妻善逸・嘴平伊之助ニヨリ上弦陸撃破!』

「…!!やったね、みんな」


『全員重症!!全員重症!!光柱・白夜ハ直チニ蝶屋敷ニ戻レ!』


「重症!?」


早く蝶屋敷に戻らないと…!



「珠世さん…!!」


珠「聞こえていました。はやく戻ってあげてください。薬はこちらです」


「あ…!完成したんですか…?」


珠「あなたの血はかなり鬼舞辻に近いものでした。なのでかなり研究が進んだんです。この薬はまだ治験できていません。人間に戻れるかは保証できませんが、それでも構いませんか?」


「…構いません。少しでも可能性があるなら」


珠「分かりました。この薬を使う時に必ず守っていただきたいことがあります」


「はい」


珠「まず薬はすぐには効きません。薬を服用したら横になってあまり動かないこと。つまり安静にしていてください。あなたが安心できる場所で」


「…安心できる場所……。分かりました」


珠「白夜さん。あなたのおかげで研究がとても進みました。禰豆子さんの人間に戻れる薬もこれで作ることができるかと思います」


「そうですか。なら良かったです。炭治郎もきっと喜びます」


珠「白夜さん。人間に戻れることを、祈っています」


「ありがとうございます、珠世さん」




オレは屋敷を出た
そこに待っていたのは


「…愈史郎」

愈「行くのか」

「うん。愈史郎、色々ありがとう」

愈「別に礼を言われるようなことはしていない」

「愈史郎らしいなぁ」

愈「…白夜、もし人間に戻れたなら、時間があればまた会いに来い。おまえの好きな人間と一緒にな」

「…!!うん、必ず。またね、愈史郎」





オレは治療のため、急いで蝶屋敷に戻った


こういう時、鬼はあまり疲れないからいい
ずっと走り続けても汗ひとつかかないし

かなりすっ飛ばしたので、予定より早く着いた



「しのぶ!」


し「白夜さん!来て下さったんですね…!早々ですが治療を頼めますか?今手が足りなくて」

「もちろん。誰をみればいい?」

し「白夜さんは炭治郎くんをお願いします」

「了解」



指示された部屋へ入ると、傷だらけの炭治郎がベッドに横たわっていた


「…なんてひどい怪我だ。頑張ったんだね、炭治郎」



そして、オレは刀を抜き、構える



「…光の呼吸 陸ノ型 優光の包容」


オレの使う回復の型は、魔法みたいに便利な技ではない
その人物の元々持つ治癒力を活性化し、治る速度を上げているだけ
なので、効果は人それぞれだ
それも太陽の光を帯びている特別なオレの刀だからこそ出来る技




「…炭治郎、戻ってこい」


お前はまだ、こんなところで立ち止まっていいやつじゃない



し「白夜さん」

「しのぶ…」

し「出来る限りのことはやりました。あとは、炭治郎くんが目覚めるのを待ちましょう」

「…うん、そうだね」


大丈夫
ぎりぎりだけど、致命傷になるような怪我はしてなかった




し「それで白夜さん。人間に戻る方法、分かったんですか?」

「あ、うん。まだ効く保証はないって言われたけど、薬を作ってもらった」

し「そうですか!ならすぐにでも試したいところですね」

「そうだね。でも薬を使う時は安静にしてなきゃいけないし安心できる場所も必要だから、今すぐにってわけにもいかなくて」

し「なるほど…。安心できる場所となると、白夜さんのお屋敷とかですかね?」


オレの屋敷か…


「うーん…正直ピンと来ないんだよね。あんまり使ってないし。どっちかと言うと…」

し「どっちかと言うと…?」


すぐに浮かんだオレの大好きな人の顔


「いや、なんでもない。とにかく薬を使う時は慎重に。何が起こるかも分からないから、オレのことをよく知ってて、そばにいて対処してくれる人を見つけないと」

し「…それ、もう決まってますよね?」

「………」


はい。できることなら、やっぱり…



「…あはは。さすがにばれるかぁ。うん。義勇に、そばにいてほしい」

し「いいんじゃないですか?冨岡さんも喜んで引き受けるでしょうし」

「ならいいんだけどね。任務が忙しくて、すぐにとはいかなそうだから」

し「そうですね。柱は忙しいですから」


「義勇の仕事が一段落ついたら、お願いするつもりでいるんだ」


し「…戻れるといいですね」


「…うん」












(…まだ屋敷には戻ってないか。義勇、会いたいなぁ…)
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