第拾参話


猗「ずっとお前を探していた」

「オレを…?」

猗「上弦の零を与えられた存在がどんな鬼なのか気になったんだよ」


するとオレの服装を見た上弦の参は


猗「あれ?その服…そうだ、杏寿郎と同じだ。そうか、お前元鬼狩りだな?しかもその辺の鬼狩りじゃない。もっと強き存在。そうかお前は鬼になる選択をしたんだな。素晴らしい選択だ」



「……お前に言っておく。オレは"元鬼殺隊"じゃなく今までもこれからも"鬼殺隊 光柱"だ。それから、オレは鬼になったんじゃない。無理やり鬼にされたんだ」


猗「…鬼となってなお、鬼狩りをしている…?人間のころの記憶を持っているということか。面白いやつだ。無理やりでも何でもいい。せっかく鬼になったんだ。このオレと戦い、どちらが強いか試してみるのはどうだ?」


…この鬼は何を言ってる


猗「そうだ、お前の名前を聞こう」


「…白夜」


猗「そうか。オレは猗窩座だ。白夜、構えろ。お前の強さを見せてみろ!」



戦いは避けられない

そう思ったオレは、していた面を横にずらし、視界を広げる

そしてすぐに刀を抜き、攻撃に備える


「はぁあ!!」


攻撃を受け止め、凪払う


「光の呼吸 弐の型 屈折光線!」


猗「さすが速いな」


攻撃は当たるが、その傷もすぐに癒えている


猗「白夜、戦いは始まったばかりだ。楽しくやろう」




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それから、数時間

終わりの見えない攻防が続いた



猗「どうした白夜。傷の治りが遅くなってないか?」


「………」



猗窩座との戦いは、普通の鬼と戦うよりはるかに消耗する
万全の状態であれば傷などすぐに治るのだが、今は運悪く甘味不足による重度の飢餓状態になっている
そのためか、傷が一向に治らない


「オレは、鬼だ。いくら傷の治りが遅くても死なない」

猗「そうだな。だがもうすぐ日が昇りそうだ。そろそろ決着をつけようじゃないか」


「……」



どんな大きな攻撃が来ても、必ず受け止める
そう気合いを入れて刀を構えた


猗「行くぞ、白夜!!」


猗窩座が全力で向かってきた瞬間だった



猗窩座の攻撃は、オレに届くことはなく
目の前に突如として現れたもの

それは



「……お、おまえ」


黒「………」


猗「…貴様、邪魔をするな!」




上弦の壱、黒死牟


黒「…お前は、白夜に勝てない」

猗「………なぜそう言い切れる」

黒「白夜は太陽を克服している。このまま戦い続けても消えるのはお前だ」

猗「……ちっ。白夜、今日は引き分けだ。楽しい戦いだった。また会おう」





猗窩座は一瞬でいなくなり、そこにはオレと黒死牟の二人


「…黒死牟、どうして」

黒「…飢餓状態でここまで戦えるとは驚いた」

「……」


気付かれてたのか


黒「あいつはもういない。早く休め」

「…そう、する」




それだけ言って、黒死牟もまた一瞬にして消えた




オレは緊張の糸がプツリと切れたかのように、そばにある木にもたれかかり、座り込む



「…助かった。あいつ、強かったな……」



それにしてもオレ、血まみれだ
もしオレが人間だったら、一人で猗窩座を倒せただろうか…
今こうして生きていられただろうか…

そんな思いが駆け巡る



『カァ!白夜!!』

「…やぁカラス……悪いんだけどさ……一番近くにいる柱を連れてきてもらえると助かる…」


オレのことを鬼だと知ってる人物でないと、きっと驚かせてしまうから


あぁ、やばい
意識が無くなりそうだ

早く…甘味を、補給しないと………






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『カァ!柱イタ!』


カラスは柱を見つけるとすぐさま近づいた



『オイ水柱!!』


義「…このカラスは、」



そう
白夜の一番近くにいた柱は、義勇だった



『白夜ガ呼ンデイル!!白夜、怪我シテ動ケナイ!』


義「…!!すぐに案内頼む!」







義(…白夜が怪我をして動けない…。傷が治らないということか…?)
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