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第拾弐話


あのあとオレは、炭治郎に会うべく、蝶屋敷に来ていた

もちろん、蝶屋敷の子たちにバレないように狐の面を着けている


炭治郎がいるであろう病室に近付くにつれ、何だか緊張してくる
最後に炭治郎に会ったのは、オレが記憶を失っていた列車の時だ


深呼吸をして、病室へ足を進めた


「たんじ…っ!?」


入った瞬間、誰かがオレに抱き付いた


炭「白夜さん…っ!!良かったです…無事で…!!」


「…炭治郎」


それは嬉しそうに涙を滲ませる炭治郎だった


炭「白夜さん、あの時夜明けが近かったから、消えていないか心配だったんです…!」

「…そっか、あの時」


確かに太陽がほぼ昇っていたような気がする


炭「突然白夜さんの匂いがして、俺嬉しくて飛び出しちゃいました…」

「…心配してくれてありがとう、炭治郎」



ああ、なんて優しい子なんだろうか



「炭治郎、実は記憶が戻ったんだ。炭治郎のことももちろん思い出したよ」

炭「本当ですか!?良かった…」

「炭治郎は人の心配ばかりだね。自分だって怪我して大変だったのに」

炭「いえ。煉獄さんに比べたら俺の怪我なんて。それより俺、白夜さんに言いたいことがあるんです」

「言いたいこと?」


炭「白夜さん。煉獄さんを救ってくれて、ありがとうございました」

「…!!」


炭「あの時俺何も出来なくて。白夜さんが来てくれなかったら、煉獄さんは…」

「そんなことないよ」

炭「え?」


「炭治郎たちがいてくれたから、杏寿郎は今生きている。オレはそう思ってるよ」

炭「白夜さん…っ」



オレは炭治郎の頭を撫でた




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「禰豆子は元気にしてる?」

炭「はい!変わらず元気です」

「そっか。実は炭治郎に相談があるんだけど」

炭「相談ですか?」

「ほら、炭治郎って禰豆子を人間に戻す方法を探してるでしょ?実はオレも人間に戻る方法を探そうと思ってるんだけど、何か分かったこととか、あったりしないかなって」


すると炭治郎がハッ、と何か思い当たるらしい顔をした



炭「実は任務中、珠世さんという女性の鬼の方に会ったんです。珠世さんは鬼なんですけど、悪い方じゃなくて、俺のことも助けてくれたんです。その珠世さんなんですけど、医者をしていて、人間に戻す薬の研究をされてて」


「ふむふむ」


炭「無惨により近い鬼の血を集めれば、その薬が作れるかもしれないという話を聞きました。そして俺は珠世さんに言われて今現在も、強い鬼の血を採取して珠世さんに送ってるんです」


「……なるほど。炭治郎、それならオレも協力できるかもしれない」


炭「え?」



オレは炭治郎しか病室にいないのを確認して、そっと面を外す


炭「……っ!!その目…!白夜さん…」


「うん。オレは無惨から上弦の零を与えられた。おそらくオレの血は無惨により近い血だと思う」


炭「……!」


「そこで、炭治郎に頼みたいことがあるんだけど」


炭「はい」


「オレの血を、珠世さんに提供する。その代わりにその珠世さんという鬼に直接会って話が聞きたい。だから炭治郎に取り次いでもらいたいんだ」

炭「分かりました。珠世さんに手紙を書くので、返事が来たらすぐに白夜さんのところまでお知らせします!」

「ありがとう、炭治郎。助かるよ」

炭「いえ!禰豆子と白夜さんが人間に戻れる可能性があるなら、俺は何だってします!」

「そっか。頼もしいなぁ。あ、そうそう、オレが鬼になってること、関係者以外は内密ってことになってるから、誰にも言わないでもらえると助かる。まぁ善逸や伊之助あたりは感じとっちゃうかもしれないけど」


炭「はい、分かりました!不安になる隊士もいるってことですよね。確かに善逸や伊之助は分かると思いますけど、あの二人なら平気だと思います。禰豆子のことも最初から全然怖がらなくて、むしろ仲良くしてくれてるんです」


「ふふ。あの二人らしいね」


炭「はい!そうなんです!」


「炭治郎、禰豆子人間に戻れるといいな」


炭「はい。禰豆子も白夜さんも、きっと人間に戻れます」

「うん、そうだね。それじゃあそろそろ行くよ。珠世さんからの返事、待ってるね」

炭「任せてください!」







(外に義勇を待たせてるんだった。急ごう)
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