第拾壱話
産「白夜、柱と白夜の関係者以外の者には、君が鬼だということは伏せておくからね。もし大黒柱が鬼だと言えば皆が不安がってしまう可能性があるから」
「はい、ご配慮ありがとうございます」
産「それと、普段活動する時はその狐面を着けること。隊士たちがその目を見たらさすがに鬼だとばれてしまうからね」
「分かりました」
産「ああ、それと」
お館様が手招きし、おいで。と呟くと
どこからともなく飛んで来る一羽の烏
「…っ!お前は…!」
そして、慣れたようにオレの肩に乗る
『無事デ良カッタ!ズット白夜ニ会イタカッタ!カァー!』
そう言って頬擦りするカラス
「ごめんね、カラス。心配かけたね。オレもお前に会いたかったよ」
またカラスに会えるなんて思ってもみなかった
産「良かったね、カラス。白夜のこと、頼んだよ」
『承知ー!カァー!』
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その後色々話し合いが行われ、柱合会議は終わった
そしてオレは柱たちに囲まれ、質問攻めにあっていた
実「白夜!無惨はどこにいる!?」
「オレと無惨がいた場所は鬼が作り出した無限の城みたいな空間だった。おそらく作り出してる鬼が自ら入れようとしないと入れないと思うよ。それに普段無惨は別の場所にいるみたい。だから無惨の居場所は分からなかった」
そう
無惨のことについても、柱合会議で話したのだ
し「それにしても、ホントに書かれてるんですね。目に上弦 零と」
「あ、うん…無惨が勝手にね」
し「やはり零となると、壱の上ですから上弦最強の鬼ということですよね。柱全員でかかっても結局勝てるかどうか微妙でしたね。生かす方向で進めていて良かったです」
「ああ、そういやオレのこと、殺さずに生かす方向で考えてくれたみたいだね。ありがとう、皆」
し「それでしたら、お礼は冨岡さんにお願いします」
「え?義勇?」
どういうこと…?
し「最初に白夜さんを殺さないでほしいと言ったのが冨岡さんなんです。それにみなが賛同したので」
「そう、なんだ…」
ちなみに、現在義勇だけはいつも通り一人離れたところにポツンと立ち尽くしている
義勇…オレのために…
「そうだ。ねぇ杏寿郎、ほんとに柱を引退するの…?」
杏寿郎は柱合会議で、柱は引退する!と宣言したのだ
杏「ああ。どのみちこの身体では、柱として任務を全うすることはできない。足手まといにはなりたくないのでな!」
「そっか…」
杏「そう落ち込むな。白夜に助けてもらった命だ。無駄にはしない。これからは隊士育成に力を入れて鬼殺隊を支えていくつもりだ」
「うん、これからもよろしくね、杏寿郎」
杏「ああ!もちろんだ!」
実「おい白夜。飢餓状態になっても人を喰いたい衝動にかられねぇってのは本当か」
実弥が唐突に質問した
皆も疑問だったのか、オレに注目した
「ああ、うん。鬼になってからオレは一度も人を喰いたいと思ったことはない。むしろ人の傷付いた姿を見るのが嫌だった。飢餓状態時は、どうしてか分からないけど、鬼が人を喰うかわりに、オレは甘味が食べたくなるんだよ」
それを聞いた天元が笑いだす
天「甘味って…!(笑)ほんと白夜は鬼になっても期待を裏切らないよなぁ!」
「…それ褒めてる?」
天「褒めてるだろどう見ても」
「…そんな気しないけど」
行冥「ということは、白夜には甘味が必需品というわけだな」
「そう。今は行き付けのお店でまとめ買いさせてもらってるんだ」
蜜「白夜さんの行き付けのお店!この間鬼に襲われたけど白夜さんと冨岡さんに助けてもらったって聞きました!」
「ああ、そういや蜜璃もよくあの店行くんだっけ」
蜜「はい!とっても美味しいですよね!」
「うん、美味しいよね。今度一緒に行く?」
蜜「はい!あ、えと、伊黒さんも一緒に行ってもいいですか?」
「え?あ、うん、いいけど。小芭内って甘味好きなの?」
すると小芭内が、オレにしか聞こえないように小声でしゃべる
小芭「…甘味をたくさん食べる甘露寺を見るのが好きなだけだ。そして白夜と二人きりにしないためでもある」
「あ…なるほど」
色々察したよオレ
もうさ、二人で行ったほうが良くない?
オレ邪魔だよね
いやでも前に蜜璃と甘味屋に行く約束してたんだよね…
「…蜜璃、この件は一旦保留で」
蜜「え!?」
「また時間空いたら行こうね」
蜜「は、はいぃ…」
ごめんね蜜璃
蜜璃と二人で行くと怒る人がいてさ
「あ、そうだ。しのぶ」
し「はい、なんでしょう?」
「炭治郎は蝶屋敷にいる?炭治郎も怪我してたし、気になって」
し「いますよ。炭治郎くんも、白夜さんのこと気にしていました」
え?
炭治郎も…?
「分かった。なら蝶屋敷に寄っていくよ」
し「分かりました」
(義勇…なんでそんなに離れてるの?)
義(邪魔をしてはいけないと思った)
(邪魔なわけないでしょ?ほら、おいで)
義(……いや、いい)
(…義勇)