第拾話
それから数日間、オレは義勇とずっと一緒にいた
というより、義勇がオレと離れなかった
多分オレのことを心配してくれてるんだと思う
そして今現在、義勇に任務が入り、共に来ていた
「…あの物陰に隠れてる。もう1つの気配はあっちにある」
義「承知した。白夜、あちらの鬼はお前に任せる」
「…了解」
人間を襲っているなら、たとえ同族でも容赦なく斬る
義「水の呼吸 肆ノ型 打ち潮」
「光の呼吸 肆ノ型 光の雫」
オレは上に飛び上がり、下にいる鬼に向かって雨の如く無数の突きを放つ
「…ふう。終わったか」
義「こちらも済んだ。白夜、怪我はないか」
「え…?あ、うん…義勇こそ怪我は?」
義「していない」
「そっか」
オレは鬼だから、怪我をしたとしてもすぐに治る
もちろんそのことは義勇も知っているはずだが、なぜ怪我の心配をしてくれたのだろう
義「…今夜は藤の花の家に世話になるか」
「…オレも入れる…のかな」
義「問題ない。白夜はれっきとした鬼殺隊だ。それに」
「それに?」
義「入れば分かる」
入れば分かるって…どういうこと…?
そして言われるがまま、藤の花の家紋の屋敷に到着
「あれ…ここ…」
なんだか、見覚えがあるような…
『鬼狩り様方、ようこそおいでくださいました。また来ていただきうれしゅうございます。さぁ、お上がりくださいまし』
「……あれ、もしかしてオレ、ここに来たこと」
義「…!白夜、思い出したのか…!?」
「…はっきりとは、分からない…。でも、なんとなく分かる気がする。今と同じように、誰かと来たような…」
鬼となった頃に比べて、記憶がだんだんと蘇ってきている感覚がある
義「…そうか。外は冷える。とりあえず中に入れ、白夜」
「うん…」
案内された部屋は一部屋
『以前と同じお部屋をご用意致しました。どうぞごゆるりとおくつろぎくださいませ』
「ありがとうございます」
用意してもらった部屋に、義勇と二人きり
「…オレ、前にもここに来てたんだな。だからあのおばあさんもオレのこと覚えてて」
義「あぁ。だから心配ない」
「…うん、ありがとう」
--------------------------------------------
汗もかいたので、お風呂に入ることにした二人
義勇も一緒に入ると言うので、一緒に入ることになった
「義勇、背中洗ってあげようか?」
義「…あぁ。頼む」
義勇の後ろに腰掛け、背中をこする
「…あれ、なんだろ……」
義「…どうした?」
「ごめん…どうしてか勝手に…」
涙が溢れてくるんだ
こんなことが前にもあった
義勇と初めて会い、抱き締められた時も勝手に涙が溢れていた
「あはは…変だな、オレ…」
義「…代わろう。今度は俺が白夜の背中を流す」
「う、うん」
そして位置が変わり、オレは義勇に背中を洗ってもらうことに
依然として、溢れる涙は止まらない
義「…白夜の髪は、とても綺麗だ」
「……っ!!」
義『白夜の髪は、とても綺麗だ』
鮮明に蘇る、あの日の言葉
言われてとても嬉しかったことを思い出す
それと同時に、人間だった時の記憶が、全てオレの頭に映し出された
「……っ、はは…何でこんな大事なことを、今まで忘れてたのかなぁ…」
義「…?白夜…?」
「…義勇っ」
オレは振り返り、義勇に口付けをした
義「…っ!」
突然のことに、当然義勇は驚きを隠せない
「…ごめん、ごめんね義勇…鬼になってごめん…っ」
義「…っ!!」
義勇はすぐに気が付いた
白夜の口調が、人間のころの柔らかな話し方に戻っていることに
義「…白夜、もしかしてお前…記憶が…」
「うん…思い出したよ。義勇がまたオレの髪を綺麗だと言ってくれたから」
白夜が記憶を思い出すほど、白夜にとって髪を褒められることはとても大きなことだった
昔から意味嫌われて鬼扱いされてきた髪色
気持ち悪いと蔑まれ、石を投げられ、村外れまで追い出されてしまった
オレはそんな自分の髪が嫌いだった
家族を不幸にするこの髪が
だけど、そんなオレの髪を綺麗だと言ってくれた人がいた
オレの大好きな人
「義勇、ありがとう…。義勇のおかげで、思い出せた。義勇のことが、大好きだってことも」
義「…白夜っ……」
「…ふふ、何で義勇まで泣いてるの」
義「…泣いて、ないっ」
あぁもう、風呂場で男二人泣いて…何やってんだって話だよね
まぁまさかお風呂で記憶を思い出すとは、全く想像できなかったけど
(義勇、そろそろ上がろっか。積もる話はそれからにしよう)
義(…あぁ、そうだな。白夜、ちなみに俺の誕生日は?)
(…まさか本当に思い出したのか疑ってる?)
義(…いや、そういうわけでは…その、一応…)
(2月8日。21歳。好きな食べ物は鮭大根。趣味は詰将棋。これでいいかな?)
義(…あぁ)
というより、義勇がオレと離れなかった
多分オレのことを心配してくれてるんだと思う
そして今現在、義勇に任務が入り、共に来ていた
「…あの物陰に隠れてる。もう1つの気配はあっちにある」
義「承知した。白夜、あちらの鬼はお前に任せる」
「…了解」
人間を襲っているなら、たとえ同族でも容赦なく斬る
義「水の呼吸 肆ノ型 打ち潮」
「光の呼吸 肆ノ型 光の雫」
オレは上に飛び上がり、下にいる鬼に向かって雨の如く無数の突きを放つ
「…ふう。終わったか」
義「こちらも済んだ。白夜、怪我はないか」
「え…?あ、うん…義勇こそ怪我は?」
義「していない」
「そっか」
オレは鬼だから、怪我をしたとしてもすぐに治る
もちろんそのことは義勇も知っているはずだが、なぜ怪我の心配をしてくれたのだろう
義「…今夜は藤の花の家に世話になるか」
「…オレも入れる…のかな」
義「問題ない。白夜はれっきとした鬼殺隊だ。それに」
「それに?」
義「入れば分かる」
入れば分かるって…どういうこと…?
そして言われるがまま、藤の花の家紋の屋敷に到着
「あれ…ここ…」
なんだか、見覚えがあるような…
『鬼狩り様方、ようこそおいでくださいました。また来ていただきうれしゅうございます。さぁ、お上がりくださいまし』
「……あれ、もしかしてオレ、ここに来たこと」
義「…!白夜、思い出したのか…!?」
「…はっきりとは、分からない…。でも、なんとなく分かる気がする。今と同じように、誰かと来たような…」
鬼となった頃に比べて、記憶がだんだんと蘇ってきている感覚がある
義「…そうか。外は冷える。とりあえず中に入れ、白夜」
「うん…」
案内された部屋は一部屋
『以前と同じお部屋をご用意致しました。どうぞごゆるりとおくつろぎくださいませ』
「ありがとうございます」
用意してもらった部屋に、義勇と二人きり
「…オレ、前にもここに来てたんだな。だからあのおばあさんもオレのこと覚えてて」
義「あぁ。だから心配ない」
「…うん、ありがとう」
--------------------------------------------
汗もかいたので、お風呂に入ることにした二人
義勇も一緒に入ると言うので、一緒に入ることになった
「義勇、背中洗ってあげようか?」
義「…あぁ。頼む」
義勇の後ろに腰掛け、背中をこする
「…あれ、なんだろ……」
義「…どうした?」
「ごめん…どうしてか勝手に…」
涙が溢れてくるんだ
こんなことが前にもあった
義勇と初めて会い、抱き締められた時も勝手に涙が溢れていた
「あはは…変だな、オレ…」
義「…代わろう。今度は俺が白夜の背中を流す」
「う、うん」
そして位置が変わり、オレは義勇に背中を洗ってもらうことに
依然として、溢れる涙は止まらない
義「…白夜の髪は、とても綺麗だ」
「……っ!!」
義『白夜の髪は、とても綺麗だ』
鮮明に蘇る、あの日の言葉
言われてとても嬉しかったことを思い出す
それと同時に、人間だった時の記憶が、全てオレの頭に映し出された
「……っ、はは…何でこんな大事なことを、今まで忘れてたのかなぁ…」
義「…?白夜…?」
「…義勇っ」
オレは振り返り、義勇に口付けをした
義「…っ!」
突然のことに、当然義勇は驚きを隠せない
「…ごめん、ごめんね義勇…鬼になってごめん…っ」
義「…っ!!」
義勇はすぐに気が付いた
白夜の口調が、人間のころの柔らかな話し方に戻っていることに
義「…白夜、もしかしてお前…記憶が…」
「うん…思い出したよ。義勇がまたオレの髪を綺麗だと言ってくれたから」
白夜が記憶を思い出すほど、白夜にとって髪を褒められることはとても大きなことだった
昔から意味嫌われて鬼扱いされてきた髪色
気持ち悪いと蔑まれ、石を投げられ、村外れまで追い出されてしまった
オレはそんな自分の髪が嫌いだった
家族を不幸にするこの髪が
だけど、そんなオレの髪を綺麗だと言ってくれた人がいた
オレの大好きな人
「義勇、ありがとう…。義勇のおかげで、思い出せた。義勇のことが、大好きだってことも」
義「…白夜っ……」
「…ふふ、何で義勇まで泣いてるの」
義「…泣いて、ないっ」
あぁもう、風呂場で男二人泣いて…何やってんだって話だよね
まぁまさかお風呂で記憶を思い出すとは、全く想像できなかったけど
(義勇、そろそろ上がろっか。積もる話はそれからにしよう)
義(…あぁ、そうだな。白夜、ちなみに俺の誕生日は?)
(…まさか本当に思い出したのか疑ってる?)
義(…いや、そういうわけでは…その、一応…)
(2月8日。21歳。好きな食べ物は鮭大根。趣味は詰将棋。これでいいかな?)
義(…あぁ)