このサイトは1ヶ月 (30日) 以上ログインされていません。 サイト管理者の方はこちらからログインすると、この広告を消すことができます。

第拾話

白夜side


義勇に連れられ、やってきたのは甘味屋

もしかしてオレのために…?


『あら!白夜さんじゃないか』

突然、甘味屋のおばちゃんに声をかけられた


義「…白夜だと分かるのか?」


そうだ
オレは面をしていて、顔は見えない
それなのに、この人はオレだと分かっている


『当たり前じゃない。何回買ってもらったか。いつもと違って変な面して髪を下ろしてるけど、私は白夜さんを間違えたりしないよ。なんたって常連様だからね。それにほら!特徴的な羽織してるだろう?この羽織してるの白夜さんしかいないからね!』

「……」


なるほど、確かに羽織は特徴的だ



そうか
人間のころに、オレはここによく来ていたのか


『ここに来たってことは、うちの菓子を買いに来てくれたってことでしょう?』

「えと…」

義「そうだ。白夜がいつも頼んでいるものを、できるだけたくさん見繕ってくれ。金はこれで足りるか」


『こんなに!?よし、分かったよ。ちょっと待ってな。すぐ用意してやるからね』


おばちゃんはいそいそと用意し始めた



「ぎ、義勇…!オレ、そんなお金持ってないし、返せないよっ…!」

義「…返す必要はない。そもそも柱は好きなだけ給料がもらえる」

「え…そうなのか…?でもでも…!」

義「…白夜はまだ鬼殺隊の籍を抜けていないはずだ。お前も言えば好きなだけ給料がもらえる」

「え…そう、なのか…。」


お互い好きなだけもらえるなら、義勇にお金を返してもあまり意味はないってことか…


『白夜さん、おまたせ!いつもの甘味たくさん入れてあるからね!』

「あ、ありがとうございますっ…」

『そんなかしこまらなくても、いつもみたいに敬語はいらないよ』

「あ…えと、ありがとう」


『あ、そうだ!白夜さんが前に言ってた、ここに連れて来たい想い人ってこの人だろう?良かったね、一緒に来れて!とてもお似合いだよ!』


「えっ…?」


想い人…!?



義「………」


義勇の顔を見たが、相変わらず表情が変わってない

むぅ…これ、どういう表情!?





そして、甘味屋を後にしたオレと義勇


「あ、あはは。さっきの人、冗談上手いよな」

義「………」


え、何も言わない!?


義「…白夜。お前の想い人が誰なのかは、俺の口から言えることじゃない」

「え…」

義「想い人が誰か。それは今のお前が決めることだ」

「…そっか。分かったよ、義勇」


義「だが、これだけは変わらない」

「?」




義「白夜は、俺が守る。必ず」

「…っ!」



なんだ、この心のざわめきは

この言葉を言われると、心が締め付けられる
バクバクと、心臓が脈を打つ



その時、義勇の烏が手紙を持ってきた


義「…お館様からの返事だ。白夜、読んでみろ」

「うん」


義勇から渡された、お館様からの手紙にはこう記されていた



『義勇と共にいるんだね。
それは安心した。
白夜が義勇のところにいることは、誰にも言わないでおくよ。皆が駆けつけたら、白夜が混乱してしまうだろうからね。白夜が無事で本当に良かった。
白夜には、こう伝えてくれるかな。
私達は白夜が人を喰わない限り、決して手荒なことはしない。だから、もし私に会いに行くことを迷っているなら、安心して来てほしい。もちろん無理にとは言わない。行ってもいいと思えた時に来てほしい。と。
その間は義勇、白夜のことを頼んだよ』



「…義勇が言ってたとおり、お館様ってとても優しい人なんだな。それがすごく伝わってきた」


義「…そうだな」












(そういえばさ。手を繋いでるから、想い人だって言われたんじゃないか?)
義(………)
(いや、だからその顔はどういう感情なんだ!?)
2/3ページ
スキ