第拾話
義勇side
白夜を探し回ったが、結局見つけられず
恐らくもうこの付近にはいないのだろう
義「…任務は白夜により遂行された模様。依然として白夜は行方不明」
そう報告書を書き、烏にくくりつける
義「…屋敷に戻るか」
白夜に会いたい一心で駆け回ったため、いつもの任務より汗をかいた気がしていた
白夜…白夜…
考えることは同じ
頭の中には白夜でいっぱいだった
それと同じくらい、後悔で溢れていた
白夜が拐われたとき、自分がそばにいればこんなことにはならなかったかもしれない
白夜を助けられなかった自分が許せなかった
そんな気持ちを抱きながら、義勇は自身の屋敷へ向かっていた
そして、屋敷にたどり着こうとしていた時だ
屋敷の前に、一人佇む影が見えた
それは、見覚えのある狐の面
幾度となく触れた、美しく長い銀髪
義「…っ、白夜…?白夜、なのか…!?」
俺がそう呟くと、狐の面をした男がこちらを向いた
「…あなたは」
あぁ、この安らぐような声は
俺の大好きなこの声は…間違いなく…
気づいたら俺は走り出していて
「…っ!!」
白夜をぎゅっと強く抱き締めていた
白夜に会えたことがとてつもなく嬉しくて
勝手に涙が溢れてきた
義「…っ、白夜…ずっと、ずっとお前に会いたかったっ…!」
「……!」
鬼になり、記憶を無くしているであろう白夜が
どうしてか涙を流していた
記憶を思い出した様子はないのに、溢れてくる涙に白夜自身が困惑しているようだった
-----------------------------------------------
先生からの手紙を読んだ
そこには、ここに来る前は先生のところにいたこと
人を喰わないということ
飢餓状態時は甘味が欲しくなるということ
そして、太陽を克服していることが書かれていた
俺は思ったより、そのことに驚かなかった
もちろん、そのことが普通の鬼ではありえないことで驚くべきことだというのは理解していたが
鬼となったのは白夜だ
白夜が鬼となっても、普通の鬼ではないだろうと予想ができる
白夜は何も変わってなどいないのだ
そして俺は、白夜に必要な甘味を調達することにした
もちろんここに白夜一人置いていくわけにもいかないので、同行してもらう
白夜の手を掴み、俺は外に出ようとして、足が止まった
外は日が差している
先生の手紙には、太陽を克服していると書かれていたが、俺が白夜と出会った時は曇っていた
本当に、消えないのか…
先生を疑うわけでは決してないのだが、それでも不安になってしまう
そんな不安を感じ取ったのか、白夜は、大丈夫だと言い、外に出た
「ほら、消えてないだろ?」
義「…良かった」
心底そう思った
義勇の手には、今までと変わらない白夜の手の温もりがあった
唯一変わったといえば、鬼特有の鋭い爪くらいだ
それも、怪我をしないようにと、白夜は俺に気を遣いながら握っていた
義「白夜」
「ん?」
義「…念のため、お前が消えてしまわないように、このまま手を繋いでいてもいいか」
「え…あ、うん。いいけど」
最初は勢いで繋いだ手だったが、せっかく繋いだ手を離してしまうのはもったいないと思ってしまった
「…義勇」
義「なんだ」
「オレは鬼だ。なのに義勇はどうしてそんな優しくしてくれるんだ?」
なぜそんな質問を
そんなの決まっているだろう
義「…お前が鬼かどうかなど関係ない。お前が白夜だからだ」
「…!」
鬼となり、記憶が欠落してしまったとしても、白夜であることは変わりない
だからこそ、俺はお前が好きなんだ
(…義勇の手、ちょっと冷たいな)
義(…そうか)
(オレがあっためてあげる)
義(…あぁ、そうしてくれ)
白夜を探し回ったが、結局見つけられず
恐らくもうこの付近にはいないのだろう
義「…任務は白夜により遂行された模様。依然として白夜は行方不明」
そう報告書を書き、烏にくくりつける
義「…屋敷に戻るか」
白夜に会いたい一心で駆け回ったため、いつもの任務より汗をかいた気がしていた
白夜…白夜…
考えることは同じ
頭の中には白夜でいっぱいだった
それと同じくらい、後悔で溢れていた
白夜が拐われたとき、自分がそばにいればこんなことにはならなかったかもしれない
白夜を助けられなかった自分が許せなかった
そんな気持ちを抱きながら、義勇は自身の屋敷へ向かっていた
そして、屋敷にたどり着こうとしていた時だ
屋敷の前に、一人佇む影が見えた
それは、見覚えのある狐の面
幾度となく触れた、美しく長い銀髪
義「…っ、白夜…?白夜、なのか…!?」
俺がそう呟くと、狐の面をした男がこちらを向いた
「…あなたは」
あぁ、この安らぐような声は
俺の大好きなこの声は…間違いなく…
気づいたら俺は走り出していて
「…っ!!」
白夜をぎゅっと強く抱き締めていた
白夜に会えたことがとてつもなく嬉しくて
勝手に涙が溢れてきた
義「…っ、白夜…ずっと、ずっとお前に会いたかったっ…!」
「……!」
鬼になり、記憶を無くしているであろう白夜が
どうしてか涙を流していた
記憶を思い出した様子はないのに、溢れてくる涙に白夜自身が困惑しているようだった
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先生からの手紙を読んだ
そこには、ここに来る前は先生のところにいたこと
人を喰わないということ
飢餓状態時は甘味が欲しくなるということ
そして、太陽を克服していることが書かれていた
俺は思ったより、そのことに驚かなかった
もちろん、そのことが普通の鬼ではありえないことで驚くべきことだというのは理解していたが
鬼となったのは白夜だ
白夜が鬼となっても、普通の鬼ではないだろうと予想ができる
白夜は何も変わってなどいないのだ
そして俺は、白夜に必要な甘味を調達することにした
もちろんここに白夜一人置いていくわけにもいかないので、同行してもらう
白夜の手を掴み、俺は外に出ようとして、足が止まった
外は日が差している
先生の手紙には、太陽を克服していると書かれていたが、俺が白夜と出会った時は曇っていた
本当に、消えないのか…
先生を疑うわけでは決してないのだが、それでも不安になってしまう
そんな不安を感じ取ったのか、白夜は、大丈夫だと言い、外に出た
「ほら、消えてないだろ?」
義「…良かった」
心底そう思った
義勇の手には、今までと変わらない白夜の手の温もりがあった
唯一変わったといえば、鬼特有の鋭い爪くらいだ
それも、怪我をしないようにと、白夜は俺に気を遣いながら握っていた
義「白夜」
「ん?」
義「…念のため、お前が消えてしまわないように、このまま手を繋いでいてもいいか」
「え…あ、うん。いいけど」
最初は勢いで繋いだ手だったが、せっかく繋いだ手を離してしまうのはもったいないと思ってしまった
「…義勇」
義「なんだ」
「オレは鬼だ。なのに義勇はどうしてそんな優しくしてくれるんだ?」
なぜそんな質問を
そんなの決まっているだろう
義「…お前が鬼かどうかなど関係ない。お前が白夜だからだ」
「…!」
鬼となり、記憶が欠落してしまったとしても、白夜であることは変わりない
だからこそ、俺はお前が好きなんだ
(…義勇の手、ちょっと冷たいな)
義(…そうか)
(オレがあっためてあげる)
義(…あぁ、そうしてくれ)