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第玖話

鱗滝さんのところでは外していた狐の面を付け、オレは歩き出す

普通の村人とかなら、オレの目を見ても、鬼とは気付かないけど
子供や老人と会えば、するどい者なら気付かれてしまう

ましてや鬼殺隊士がいないとも限らない
用心に越したことはない


「…それにしても、鱗滝さん、たくさん手土産くれたなぁ」

全て甘味である
オレがいつ飢餓状態になってもいいように準備してくれていたのだ

「…なんか、心があったかい…」


ほわほわしながら歩き続け、町に着いた頃には夜となっていた


「…住所の場所まではまだ距離があるな」


ここで休もうか
そう考えていた時だ

家から女性の悲鳴が聞こえた


「…鬼の気配」

同類の気配は容易に感じとれる
オレは走り出していた







いた…
やはり鬼に襲われそうになっている


「…光の呼吸 壱ノ型 一刀光線」


一瞬にして鬼の頸を落とす


鬼「な、何故だ…お前の気配は……。同類のくせに…何故鬼狩りの刀を持っている……」


「……お前に教える義理はない」


鬼は散っていった


女性「あ、あの……狐の面の方」

「…!」

女性「…助けていただいて、なんてお礼を言えばいいのか…本当にありがとうございました」

「…いえ。オレがしたくてしてることなので」

女性「あの!良ければ名前を…」

「名乗るほどの者でもございません。さっきの…化け物はもういないので安心してください。それじゃあオレはこれで」

女性「あ、ありがとうございましたっ…!」




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義「…この辺りか」

『モウ少シ先ジャ…』



冨岡義勇は、鬼が出るとの噂の町まで来ていた


義「…!あそこか」

やけに壊れている家を見つけた義勇は、すぐさま向かったのだが



義「…いない」

そこにいたのは、人間の女性がひとり


女性「…あなたは、さっきの方の仲間の方…?同じ服を着てる…」

義(…先に他の隊士が来たのか?)


『…オカシイゾ…派遣サレタ隊士ハ義勇ダケノハズジャ…』


義「…なら一体誰が」


女性「あの…先ほど助けてくださった方のお知り合いですよね?同じ服ですし…。あの方にお礼をしたいので教えていただけませんか!?あの、狐の面の方の!」


義「……狐の、面だと…?今、そう言ったか!?」

女性「えっ…?えぇ。狐の面をした美しい銀髪の…」

義「そいつはどこに行った!?」


掴みかからん勢いで問いつめる義勇


義(…白夜っ、白夜が、先刻までここに……!)

女性「あちらの方向へ走って行かれました…」


義「…驚かせてすまない。助かる」


義勇は女性にそう言い、教えてもらった方角に走り出す



義「…どこだっ、どこにいる、白夜…っ!!」


会いたい…

お前の顔が見たい…!


そんな想いを抱き、義勇はひたすら白夜を探したが



義「…ダメだ。いない…」


白夜は鬼になっているはずだから、鬼の気配を探せばいいのだが、気配すらない


義「…白夜。お前は鬼となり、記憶を失っているというのに人間を助けているのか…。やはりお前は鬼になっても、白夜なんだな…」


オレの慕う、白夜だ………










義(…白夜、おまえに会いたい……)
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