第漆話
運命の歯車は、残酷にも回り始めていた
「……」
『白夜!』
「なに?」
『水柱ノコト考エテタナ!』
こいつは何でもお見通しだな
「ごめんごめん。任務に集中するよ」
その時だった
突然楽器の『ベェンッ!』という音が聞こえたかと思えば、先ほどまでいた場所ではない、だが見覚えのある場所に瞬間移動していた
「…え……そんな…」
ここは、以前、鬼舞辻無惨に捕まった幾重にも重なった部屋の城
いわば、無限城とでも言おうか
「…何も反応できなかった……」
カラスはいない…
「…っ!!」
突然だった
後ろに現れたのは、異様に目がたくさんあり、刀を持った鬼だった
同時に手を拘束された
黒「…お前は、強い人間のようだ」
「……」
急になんだ
黒「…もうすぐ来られる」
その言葉のすぐだった
目の前に、鬼舞辻無惨が現れた
無「久しぶりだな、白夜。相変わらずお前は美しい」
「…お前に褒められても嬉しくない」
無「まぁいい。白夜、お前は2年前よりもさらに美しく、そして強くなった。鬼にするなら今だと私が判断した」
「…誰が鬼になんか」
無「鬼になれば、お前は永遠の美しさを保つことができる。私のものにできる」
「オレはお前のものにならない…」
無「そうやって歯向かう姿ももはや愛らしく見えてくるものだな」
……こいつ、何言っても無駄な気がしてきた
無「…お前と言い合う時間も悪くないが、そろそろ鬼になってもらうぞ」
「やめろ…っ!オレに触るなっ!」
無「無駄だ。さぁ、私の血を飲むがいい」
「やめっ…んん、!!?」
無惨の口から直接血が流し込まれていく
いやだ…!
鬼になんて、なりたくない…っ!!
義勇……っ、たす、けて………
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『カァ!カァ!白夜ガ消エタ!!…水柱!近クニマダイル!水柱!』
白夜のカラスは、先ほど別れたばかりの義勇のもとへ飛んでいった
『カァ!イタ!!オイ水柱!』
義「?このカラスは、白夜のカラス…なんだ」
『白夜ガ消エタ!!突然消エタ!白夜ヲ助ケロ!』
義「…今、何と言った……白夜が、消えただと…!?」
『前ニモアッタ!鬼二連レテイカレタ!!』
義「…消えた場所はどこだ!!」
『コッチダ!!ツイテコイ!』
そこは白夜と別れてまだそんなに遠くない場所だった
消えた場所には、白夜が確かに持っていた荷物が落ちていた
義「…俺が近くにいながら、どうしてこんなことに…!!白夜……!はく、や……っ…」
義勇の目から涙が溢れんばかりに零れ落ちる
義「…やはり離れるべきではなかった…っ!くそっ…!」
義勇は白夜の荷物を握り締めた
義「……カラス。今すぐお館様のところへ行き、報告してくれ」
『…分カッタ』
白夜のカラスはすぐさま飛んでいた
義「……すまない、白夜……助けに行ってやれず、すまない…っ!」
義(…頼む白夜……生きていてくれ…っ)